脳磁(MEG)計測によるヒトの視差検出過程の解析
谷川昌司1・山本洋紀1・大谷芳夫2・岡村昇一3・吉田佳一3・吉川健治4・高梨芳彰5・江島義道1・外山敬介4
1 京都大学大学院人間・環境学研究科
2 京都工芸繊維大学工芸学部
3 株式会社島津製作所基盤技術研究所
4 京都府立医大第2生理学教室
5 京都府立医大神経内科
2次元網膜画像から3次元視空間を復元する手がかりの1つとして両眼視差情報がある。本研究ではこの視差情報検出過程を解明するために、ランダムドットステレオグラム(RDS)を刺激として、奥行き面出現時のONSET反応をMEGを用いて測定した。刺激は右視野に密度50%、ドットサイズ0.2degで下記の順序で呈示された。先行刺激として一様な(視差のない)RDSを500msec呈示し、次に(1)視差あり条件:振幅が視差12arcminで奥行き方向に変調された空間周波数0.5 cpdの矩形波横縞のRDS、(2)視差なし条件:一様なRDS、のどちらかを呈示した。全センサー(129チャンネル)の誘発磁場エネルギーの波形解析から、潜時200-300msecの応答に条件間で顕著な差異が見られることが示された。この応答について単一電源推定および空間フィルタ解析を行った結果、視差あり条件で背側前線条皮質に電源が推定された。このことから、視差検出は背側前線条皮質において潜時200-300msecの間に行われていると推測される。