脳磁計による乳児の一次体性感覚野の発達的変化の検討
權藤健二郎(1)、飛松省三(2)、吉良龍太郎(1)、徳永洋一(1)、原 寿郎(1)
(1)九州大学医学部小児科、(2)同 脳研 臨床神経生理
【目的】乳児における体性感覚野の発達は未だに不明な点が多い。私共は正常乳児において触圧覚刺激による体性感覚誘発脳磁界(SEF)を測定し、電流源の位置の推定、体部位局在の有無、運動−感覚連関について検討した。【方法】対象は正常発達の乳児12人で、検査は手掌把握の時期とピンセットつまみの時期以降の二期に分けて行った。睡眠II-III段階に鎮静した乳児の母指と薬指をair-puff刺激装置で900-1100 msecでランダムに刺激し加算平均した。【結果】刺激後約20 msec(W1)、60 msec(W2)、100 msec(W3)に反応を認め、電流源の位置推定が可能であった。ピンセットつまみの時期にMRI検査を施行した例では電流源は中心後回上に推定され、成人と同じ体部位局在を呈した。またW3は発達に伴い振幅が大きくなり、相関係数も高くなる傾向を示した。[考察]SEFにより乳児期に明瞭な体部位局在が形成されることが判明した。また予想に反して【考察】長潜時皮質反応(W3)が最も安定していたが、これは刺激が生理的かつ選択的であったことと、脳磁図が誘発電位よりS/N比が高いためと考えられた。