Fmθの位相差を持つ複数の発生源

 

大阪大学医学部精神医学教室 篠崎和弘、石井良平、鵜飼聡、石原務、井上健、武田雅俊、同機能画像診断学 水野由子、同脳神経外科 吉峰俊樹、 同放射線科 平吹度夫 


Fmθの主たる電流発生源は前部帯状回を含む内側前頭葉に推定されることを等価電流双極子、SAMで確認し報告したが、これとは別に左右前頭前野にも電流発生源が推定され前者に対して90度の位相差を持っていた.

連続して暗算を遂行時の4名の被験者でFmθを脳波と同時記録した.上記の現象は視察、FFTによる位相差マッピング、ゼロ・クロスを基準にしたFmθ波形の加算平均波形のコントール・マップのダイポール・パターンなどで確認できた.

Freemanらが嗅皮質で同様の振動現象を確認し、90度の位相差を持つとき興奮性、抑制性神経回路間のフィード・バック・システムが安定作動すると考察している.このモデルがFmθについて妥当性がある.

背景活動のθは機能低下とrCBFの低下に関係する.ワーキング・メモリ課題では前頭前野、前部帯状回のrCBF増加が報告されている.そこでFmθではrCBFが増加し、機能的には低下すると推定すると、頭頂連合野、側頭連合野からの入力を遮断し注意の集中を持続させているという解釈が成立する.