単語および無意味語に誘発された脳磁場に対する刺激反復の効果
関口貴裕 1,2 小山紗智子 1 柿木隆介 1
1)岡崎国立共同研究機構 生理学研究所
2)大阪大学 人間科学部
一度提示した単語を反復提示すると、その単語はより早く認知される。この現象は単語反復効果と呼ばれており、心的辞書の状態変化を反映したものと考えられている。我々は先行研究において、単語に誘発された脳磁場の振幅が反復により減衰すること、その信号源がシルビウス裂周辺にあることを明らかにした。本研究では、反復による脳磁場の減衰が単語に特異的な現象かを調べるため、単語と無意味語で反復の効果を比較した。被験者は右利き健常者13名。刺激には120語のカタカナ単語と120語の無意味語を用い、これらを8語間隔で2回提示した。単語・無意味語ともに両半球で明瞭な脳磁場を誘発した。単語に対する脳磁場は、刺激提示から300ー500msの潜時帯において反復により減衰した(左のみ)。この反復効果は無意味語では得られなかった。したがって、脳磁場における反復効果は、単語に特異的な処理を反映したものと考えられる。当日は信号源推定の結果を合わせて報告する。