ヒトの顔認知に関する脳磁図と脳波を用いた研究
渡辺昌子1,小山紗智子1,柿木隆介1,桐野衛二2
1生理学研究所,2Neuropsychology Lab. VA Medical center, West Haven
10名の右利き被験者について顔認知過程を脳磁図と脳波を用いて検討した。刺激はS-I; 開眼顔、S-II; 閉眼顔、S-III; 目(S-Iから目の部分を切り抜きS-IVの上に置く)、S-IV; 平均輝度をS-Iと等しくした無意味図形、S-V; 手の5種類。
全ての条件で潜時130ー170msecに1M成分が認められた。『顔』及び『目』に対して特異的に潜時180ー220msecに2M成分が認められその双極子は紡錘状回付近に位置推定された。『目』に対する反応のピーク潜時は『顔』に対する反応より有意に延長していた。
BESAを用いた多双極子解析では両側半球の第1次視覚野(source1と2)と紡錘状回付近
(source 3)の3双極子モデルが最も良好な結果を示し、1Mはsource 1,2と、2Mはsource 3に対応していた。脳波では『顔』及び『目』に対して特異的に明瞭な反応が見られ、その潜時は2M成分より約10msec有意に延長していた。