発声関連脳磁場の検討

 

軍司敦子,柿木隆介,寶珠山稔

生理学研究所


健常者8名に対して,単音(/u/)を自発的に発声しているときの発声関連脳磁場 (vocalization related cortical fields: VRCF) について検討した。発声前150 msから発声後150 msの間について,複数双極子モデル (BESA) を用いて位置推定したところ,6双極子モデル (両側運動野の発声関連部位と体幹部位,両側一次聴覚野) が最も良好な結果を示した。両側運動野における4つの双極子は,発声前から発声中にかけて認められ,発声には口周囲,舌,咽喉頭等の筋と横隔膜を主とする体幹筋の活動が必要であると考えられた。一次聴覚野における2つの双極子は発声開始後に認められ,自分の声に対する反応を示していると考えられた。