単一神経線維活動磁界のコンピュータ.シミュレーション:正常神経線維と障害神経線維についての検討
岩瀬嘉志1,黒沢 尚1,落合直之2,益子拓徳3,今田俊明3,橋本 勲4
1順天堂大学整形外科,2筑波大学整形外科,3NTT基礎研究所情報科学研究部,
4東京都精神医学総合研究所精神生理,生理学研究所
目的:健常成人,末梢神経障害患者より計測された末梢神経活動磁界の発生メカニズムに関する基礎的理解のために,単一神経線維モデルを使って刺激によって発生する神経活動磁界のコンピュータ.シミュレーションを行う.
方法:HodgikinーHuxleyの式を用いて刺激によって生じる正常単一神経線維のイオン電流,活動電位を計算した.またMcNealのモデルを使って活動電位伝播の時間的変化と,それによって発生する神経活動磁界のシミュレーションを行った.次に末梢神経障害を想定したパラメータを用いて計算した.
結果:正常単一神経線維のコンピュータ.シミュレーションでは電流四重極子の伝播がみられた.また末梢神経障害を想定したコンピュータ.シミュレーションでは伝播障害部位で電流四重極子消失現象が,神経線維の変性で磁界振動現象を認めた.
考察:コンピュータ.シミュレーションの結果は実際に計測された健常成人,末梢神経障害患者の活動磁界とよく一致した.このことより,HodgikinーHuxleyの式をもちいたシミュレーションは神経活動磁界の理解のために有効であると考えられた.