後脛骨神経刺激一次反応における高周波応答:Time-frequency domain MUSIC algorithmによる解析
佐久間研司1),橋本勲1),2),関原謙介3),井口義信2),木村友昭4),
斎藤泰彦 5)
1)国立岡崎共同研究機構 生理学研究所 統合生理研究施設
2)東京都精神医学総合研究所 精神生理研究部門
3)科学技術事業団「心表象」プロジェクト
4)筑波技術短期大学・鍼灸学科
5)足利工業大学
健常成人10名を対象とし,後脛骨神経一次応答における高周波信号(High-frequency oscillations; HFOs)を脳磁図を用いて記録し,その信号源推定を行った. Wide bandで測定された体性感覚誘発脳磁場は500-800 Hzのdigital filterを用い足の体性感覚一次反応であるP37mに重畳する高周波応答(HFOs)の同定をした.Wide-band記録における加算波形では,P37mが10例全例に明瞭に記録された.500-800 Hzのフィルターをかけると,P37mに重畳して低振幅のHFOsが10例中5例にて認められた.Time-frequency spectrogramを用いるとHFOsはより明瞭に同定し得た.Time-frequency domain MUSIC algorithm(TF-MUSIC) による信号源推定でもsingle moving dipole method (SMD) と同様,HFOsとP37mの双極子位置に統計学的な有意差はなかった.しかし,TF-MUSICalgorithmは,SMDで推定し得ない信号源推定を可能とした.