嗅覚情報処理に関わる脳内部位推定
綾部早穂1,2、小早川達2、後藤なおみ2、斉藤幸子2
1学術振興会特別研究員・筑波大心理 2生命工学工業技術研究所
ニオイ刺激提示後の両半球の梨状葉と右眼窩前頭皮質の血流量増加がPETやfMRIを用いた研究から報告されている。しかしこれらの代謝法では嗅覚情報処理の時間経過を追うことは難しい。一方MEGとEEGでは刺激提示直後からミリ秒単位で脳の活動の様子を知ることが出来る。我々はニオイ刺激に応答する脳活動の様子をMEGとEEGの同時計測から検討した。ニオイは常時鼻腔内に供給する空気中にパルス状に取り込むKobal式オルファクトメータで提示し、ニオイだけを吹き付けることで生じる三叉神経系への刺激を除外できた。これによって嗅覚系だけをモノモダルに刺激することができた。MEG計測には全頭型SQUIDシステムを利用し、EEGはCz,C3,C4から単極導出しMEGと同時に計測した。EEGのP1(潜時約330ミリ秒)、N1(潜時約430ミリ秒)、P2(潜時約560ミリ秒)成分に対応した潜時でMEGの信号も大きくなり、この活動源はいずれの場合も両側の島皮質、外側溝、上側頭溝、下側頭回に推定された。