臨床応用
1-P1局在性皮質形成異常症に伴ない体性感覚中枢の可塑性が観察されたてんかん男児例
權藤健二郎1、飛松省三2、吉良龍太郎1、徳永洋一1、原 寿郎1
1九州大学医学部小児科、2九州大学医学部脳研臨床神経生理
脳の可塑性については循環障害あるいは外傷後の成人例で検討した報告が多い。
また皮質形成異常症に関しても形成異常脳の機能をfMRIやPETを用いて評価し た報告が近年なされている。しかし再構築された機能局在が実際にどの部位に存在するのかに関して詳しく検討した報告はほとんどなく、てんかん焦点との関連を考察した報告も少ない。今回私供はけいれんを主訴に当科を受診した五歳男児例において皮質形成異常症を認め、脳波、体性感覚誘発電位、体性感覚誘発脳磁野を行った。これらの結果からてんかん焦点と一次体性感覚中枢の位置をMRI上で推定し、いずれも病変に隣接しMRIでは正常と思われる前頭葉に存在していることを明らかにした。過去の報告例から考えて本症例は特殊な例とも考えられるが脳の可塑性を考察するうえで興味深い一例と考えられたので報告する。