味覚・嗅覚 P18

脳磁場計測と機能的核磁気共鳴画像法による味覚関連皮質

小早川達1、綾部早穂21、山内康司1、高橋晃1、小川尚3、斉藤幸子1
  1生命工学工業技術研究所、2筑波大学心理学系、3熊本大学医学部

 全頭型脳磁計測装置を用いて味覚による誘発磁場の測定を行い、ヒトの第一次味覚野が島皮質と頭頂弁蓋部の移行部にあることを報告した。今回の発表では長潜時において推定を行った結果を報告する。この一次味覚野の活動後、上側頭溝、帯状回、海馬、海馬傍回、前頭弁蓋部、前部島皮質、頭頂間溝において活動源が推定された。また短潜時においては食塩を提示した場合、前述の島皮質と頭頂弁蓋部以外に、中心溝底部にも活動が見られた。
 次に、長潜時においてマルチダイポールで推定を行った結果を確認するために、機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)に脳磁場計測に用いた同じ刺激装置を用い,味刺激を提示した場合の血流変化が起こる部位の計測を試みた.通常,fMRIの計測の場合には刺激提示,またはタスクの負荷を数十秒行うが,味刺激を数十秒与え続けると順応が起こり,被験者は味を感じない.そこで刺激提示の方法を工夫することで,順応せずに舌に対して味覚刺激を提示する手法の開発を行った.fMRIで観測された結果とMEGにで推定された結果の比較検討を行ったところ,両者によって得られた知見はほぼ一致した.