臨床応用 1-P2

てんかん棘波記録における MEG の有用性と限界  慢性硬膜下電極と MEG の同時記録

 重藤寛史1,2, 森岡隆人3, 飛松省三1, 石橋秀昭3, 山本智矢4, 福井仁士3, 吉良潤一2, 加藤元博1

 1九州大学大学院医学系研究科臨床神経生理, 
 2九州大学大学院医学系研究科神経内科,
 3九州大学大学院医学系研究科脳神経外科,
 4九州大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科

 MEG は部分てんかんの焦点局在の推定に有用であると考えられている.しかし棘波の電位の大きさや広がりが頭蓋上の磁界形成にどの程度寄与しているかや,側頭葉内側の棘波活動が MEG により検出できるか否かは十分に明らかにされていない.そこでてんかん患者の皮質における棘波を慢性硬膜下電極(ECoG)と MEG により同時に記録し比較した.方法:.脳波,画像にて側頭葉(8人)あるいは円蓋部(2人)にてんかん焦点が推定され手術を必要とした難治てんかん患者10名.棘波を ECoG 37ch-MEGBTi)により同時に記録した.結果:側頭葉内側に限局する棘波は MEG で記録できなかった.円蓋部の棘波は MEG で記録できたが,記録できる放電は ECoG 記録で 100mV 以上の振幅をもち,3cm2 以上の広がりをもつ放電であった.結論:側頭葉内側に限局する棘波は MEG では記録できなかった.また円蓋部の棘波を MEG にて記録するにはある程度の電位と広がりが必要であった.