臨床応用 -P3

島周辺に推定されるてんかん棘の磁気双極子の特徴と発作症状との関係

○芳村勝城 渡辺裕貴 白石秀明
 国立療養所静岡東病院(てんかんセンター)

 島、弁蓋部周辺は前頭葉と側頭葉が近接しているため、この部位に推定されたdipoleの局在する脳葉の判断は臨床的に重要な問題である。そこでdipoleの特徴の違いにこれらが区別できるか知るため、てんかん棘のdipoleが島、弁蓋部周辺に集積したてんかん患者23例のdipoleと発作症状に関連があるかを調べた。
(結果)
dipoleの電流モーメントの向きが前方または後下方に揃う7例では前頭葉焦点と考えられる発作を持つものが多く、後上方に揃う傾向のある4例は側頭葉焦点の発作の特徴を持っていた。また12例では電流モーメントの向きに一定の傾向がなかったが、そのうち、側頭葉焦点の発作の特徴を持つ4例と症候性全般てんかんと考えられた2例では電流モーメントの値が高い傾向があり、前頭葉焦点の発作の特徴を持つ4例と全汎発作に見える発作を持ちながらdipoleが一側前頭葉弁蓋部付近に限局する2例では電流モーメントの値が低かった。
(結論)
島、弁蓋部周辺では、dipoleの特徴により、てんかん棘の発生した脳葉を判別することが可能であると考えられる。