高次脳機能2

遅延対比較課題遂行時の脳内活動時空間特性の解析

 中川誠司1,岩木直1,上野照剛2,今田俊明3

  1電子技術総合研究所大阪ライフエレクトロニクス研究センター

  2東京大学大学院医学系研究科

  3日本電信電話(株)コミュニケーション科学基礎研究所

 

遅延対比較課題遂行時の脳磁界計測を行った.被験者に1つめの刺激(target)とその3秒後に呈示される2つ目の刺激(probe)の一致/不一致を判断させた.遅延時間中に低周波磁界成分が観察され,その脳内活動源を単一電流双極子モデルによる非線形パラメータ推定法,および計測データの時空間系列を用いたmultiple signal classification(MUSIC) 法を用いて推定した.その結果,左右の後頭部底部,縁上回・角回付近,前頭葉前部等に活動源が推定された.とりわけ後頭葉底部には,大きな活動が遅延時間中に連続して認められた.これらの活動は視覚短期記憶の保持過程を反映しているものと考えられる.