高次脳機能
2-P37「目の動き」認知に関する脳部位局在
生理学研究所 統合生理研究施設
これまでヒトの顔認知中枢が下側頭葉紡錘状回にあることを報告してきたが、今回は静止した顔ではなく「目の動き」認知に対する活動を脳磁図を用いて調べた。刺激には仮現運動現象を利用した。目の位置が正中位と右を向いている二つの画像を用い「目の動き」刺激とした。同様に背景模様のパターンが異なる二つの画像を用いて「背景の動き」刺激とした。「目の動き」に対して潜時
150-250msに誘発成分が認められ、その電流双極子は中側頭葉後部、MT/V5野に相当すると思われる部分に位置推定された。下側頭葉に活動は認められなかった。「背景の動き」に対しても誘発成分が記録されたが、その潜時は「目の動き」に対して有意に短く、電流双極子は同じ中側頭葉後部でも「目の動き」と比較し有意に前上方に位置推定された。この結果から、MT/V5野の中に「目の動き」に対して特異的に反応する部分が存在する可能性が示唆された。