高次脳機能 -P38

顔の弁別と認知  −多角的アプローチ−

○中村昭範1,加藤隆司1,堀部賢太郎2,中村克己3, 佐藤暢哉3,川島隆太4, 杉浦元亮4, 山田孝子2,加知輝彦2, 伊藤健吾1
 1:長寿医療研究センター生体機能研究部
 2:国立中部病院神経内科
 3:京都大学霊長類研究所認知学習分野
 4:東北大学加齢医学研究所

 顔の認知機構について、顔に対するattention levelを変えながら検討した。
方法:
被検者は健常男性ボランティア5名。(A)顔を受動的に見るだけ、(B)顔が左右どちらを向いているかを判定、(C)顔が知っている顔か知らない顔かを判定、させる課題でMEGを記録し、反応を比較検討した。結果は、single ECD model, multi ECD model (BESA), MUSIC method (multiple signal classification, ASA)、により多角的に検討し、更にPETのデータとも比較した。
結果:
1)潜時160ms前後に、下後頭側頭部を発生源として顔に対して強く反応する磁界成分160Mが記録された。2)160Mは、顔に対するattention levelの影響は小さかったが、それより後期の成分は(C)課題の時に反応が大きくなった。3)PETでも(C)課題の時に、側頭葉先端部下面、扁桃体、海馬、帯状回、の有意な血流増加が認められた。4)PETデータも考慮に入れたMEG発生源の検討により、後期成分の発生源は160Mの電源よりも前方の側頭葉下面及び側頭葉内側面に推定され、顔の詳細な情報の処理にはこれらの部分が重要な役割を担っていることが示唆された。