聴覚 P5

可聴音と超音波の2-ch骨導刺激に対するMEG反応

阪口剛史
 同志社大学大学院工学研究科

 超音波の場合,骨導でも音源定位が可能であるということを我々は報告しているが,一般に,可聴骨導音による音源定位はできないといわれている.しかし,振動子を左右に分けて配置し刺激を呈示した場合,骨導超音波刺激のときほど明瞭ではないまでも,可聴周波数範囲の骨導音であっても心理的にその音像の違いを知覚することは不可能ではない.そこで本研究では,可聴骨導音を用いた2チャンネル刺激をオドボール課題に準拠して呈示したとき,ミスマッチフィールド成分が誘発されるかについて検討した.また,可聴骨導音と骨導超音波を知覚したときの音像の方向性の明瞭さの違いが,高頻度刺激,低頻度刺激それぞれの刺激によって誘発される脳磁界反応の大きさの比に反映されるかについても検討した.結果,一般に音源定位ができないといわれている可聴骨導音からもMMF 反応が観測され,音源定位ができていることが分かった.可聴骨導音刺激に対して骨導超音波刺激のほうが,より方向性の明瞭な音として知覚することができるが,高頻度刺激,低頻度刺激それぞれによって誘発される脳磁界反応の大きさの比には有意差は認められなかった.