聴覚
P7聴覚性感覚記憶内の逸脱検出感度
矢部博興1, 小山紗智子2, 柿木隆介2, 軍司敦子2, Mari Tervaniemi 3, 佐藤泰治1, 兼子 直1
Mismatch Negativityは一次聴覚野近傍に誘発され、背景の聴覚事象の感覚記憶痕跡と逸脱事象の前注意的な比較過程を反映するとされる(Memory trace説)。この感覚記憶にtemporal window of integration機能が存在し、この極小の記憶単位が160-170ms前後である事が報告された(Yabe et al., 1998)。しかし感覚記憶内の反応感度については明らかにされていない。我々は、temporal window内の音の欠落部分に対する感度を時間軸に沿って計測しようとした。被験者の左側耳に、(実験1)170msの持続の純音の一部の区間(36ms幅)だけが欠落した4種の逸脱音を、又は(実験2)176msの持続の純音の一部の区間(22ms幅)だけが欠落した6種の逸脱音を、各々5%の確率で無作為に混ぜた刺激系列を呈示し、MMF(Mismatch Field)を記録した。いずれの実験でも、逸脱(欠落)部分に対するMMFは、temporal windowの後半部分に向かって減衰及び潜時延長を示した。感覚記憶内の感度は、その時間軸上で均等でない事が示唆された。