視覚
P9知覚的輪郭形成と領域分割過程の脳磁応答解析
大谷芳夫1, 芝崎俊幸1, 岡村昇一2, 吉田佳一2, 外山敬介2, 江島義道3
3次元ベクトル型脳磁計測システム
(Shimadzu SBI-100)を用いて、明暗コントラスト、テクスチュア、及び主観的輪郭によって複数の領域に分割された刺激に対する脳磁測定を行った。その結果、領域分割の有無に関わらず、潜時90-100msec近傍に早期応答成分が確認された。また、領域分割条件では潜時150-200msec近傍の後期応答成分が顕著に増大することが明らかとなった。単一電源推定法による解析では、早期成分に対しては第1次視覚野後部に電源が推定された。一方、後期成分に対しては時間の経過とともに電源位置が変化し、潜時170ms近傍では第1次視覚野よりも頭頂側POS下部領域付近に、潜時200ms近傍では第1次視覚野前部に電源が推定された。早期及び後期成分はそれぞれ、局所的明暗情報の検出過程と輪郭線知覚及び知覚的領域分割過程に関与する応答と考えられる。また、電源位置の変化から知覚的領域分割はPOS下部領域からのフィードバック情報に基づく第1次視覚野応答によって媒介されていることが示唆された。