脳においては膨大な神経情報処理が意識に昇らない仕方で遂行され、またシナプス結合の柔軟性が神経システムの可塑的変化=学習を保障している。こうした潜在的情報処理は、知覚、記憶、運動、情動などの高次機能に広範にまたがり、それらを下支えしている。このレクチャーシリーズでは、以下のようなテーマについて、最新の研究事例を通して検討する: (a)主観的意識体験を通じた人間の自己認識や行為制御が、神経組織における潜在的な情報処理によっていかにして実現されているか、(b)神経活動と知覚経験のマイクロな時間的構造はどこまでわかっているか、(c)意志決定や行為が身体依存的/文脈依存的というのは認知神経科学的にはどのような意味なのか。さらにこれらの検討をふまえて、(1)クオリア(主観経験に固有の質)はほんとうに「説明困難な問題」か、(2)意識経験にとって脳神経活動は必要十分条件か、(3)人間は意識的に自己決定する存在でありうるのか(もしそうだとすればいかなる意味においてか)といった古典的な問題にも、あえて踏み込んで考察する。 |
公式ホームページ |
UTCP連続講演会 行為、意志、意識―主観経験の神経科学 http://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/forthcoming.html#anchor_Seminars |
日 時 |
2007年1月16日(火)・18日(木)・19日(金) |
会 場 | 場所:東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム1 |
主 催 | UTCP(東京大学21世紀COE共生のための国際哲学交流センター) |
共 催 | ECS(東京大学21世紀COE心とことば―進化認知科学的展開) |
協 賛 |
中央公論新社 |
2007年1月16日(火)
第一回 | 13:00〜14:30 | 主観経験は特権的か―イエス&ノー |
第二回 | 15:30〜17:00 | 主観的意識体験の時間的構造 |
2007年1月18日(木)
第三回 | 13:00〜14:30 | 自発的な運動の神経学的メカニズム |
第四回 | 15:30〜17:00 | 主観体験の直接性・無謬性という錯誤 |
2007年1月19日(金)
第五回 | 14:00〜17:00 | 真正のイリュージョンとしての自由意志 |
事前登録要
大学院生以上で全日程出席可能な方を優先します。
UTCPのホームページ(http://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/forthcoming.html#anchor_Seminars)を参照の上、登録下さい。
参加登録(2007年1月5日(金)まで受付)
ポスター(pdf) (200KB)