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(所属領域) 第一領域、公募班 |
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(氏名) 津田一郎 |
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(所属・職名) 北海道大学電子科学研究所 電子情報処理部門 計算論的生命科学研究分野・教授 |
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(電話) 011-706-3824 |
(FAX) 011-706-3824 |
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(E-mail) tsuda@math.sci.hokudai.ac.jp |
(URL) http://www.math.sci.hokudai.ac.jp/~tsuda/ |
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(メッセージ) 私は非平衡・非線形散逸構造論、非線形動力学、非線形数学、カオス理論などを柱にして、複雑系としての脳、特にそのダイナミックでカオス的な情報処理の仕組みに関する研究を行ってきました。代表的な成果は以下のようなものです。 @非平衡神経回路網をモデル化し、その典型的な動的挙動としてカオス的遍歴を発見した。その知覚レベル、認知レベルでの情報論的解釈を行った。その後カオス的遍歴類似の現象は視覚野、嗅球や辺縁系の広い範囲で観測されています。 Aカオス情報理論を構築し、カオスネットワークが情報チャンネルとして機能する(情報の効率よい伝播とダイナミックメモリーの生成)条件を与え、脳神経系での情報生成の機構への応用を試みています。一見ランダムに見える電位変化に情報としての秩序が内在され得ることを示し、ノイズによってカオスから秩序を取り出せることを示しました。 B入力時系列の階層的分類方法を発見しました。ここでのカントルコード生成を海馬のエピソード記憶形成のモデルに応用する研究を現在行なっています。実験家との共同研究を開始する計画を立てています。 C思考・推論、及び記憶に関する学習実験タスクを構築するための実験デザインに関する数学理論を構築しつつあります。実験家と共同研究を継続中です。 D複雑系科学の可能性を世界に先駆けて研究し、金子邦彦、池上高志、伊庭幸人らとともに日本における複雑系科学研究の旗揚げを行ないました。 また、我が国の数学に於ける複雑系研究を岡部靖憲、辻下徹、高橋陽一郎らとともに立ち上げました。 今回の特定領域研究においては、今までの研究経験を活かして上の項目Bにテーマを絞って研究しています。 最近の主要論文でBに関係するものと主要著書を以下に掲げますので参考にして下さい。 最近の主要関連論文 H. Fujii and I. Tsuda,
Interneurons: their cognitive roles - A perspective from dynamical systems
view, to appear in ICDL2005
- The Fourth IEEE International Conference in Development and Learning - from
Interaction to Cognition. H. Fujii, K. Aihara, and
I. Tsuda, 'Functional Relevance of 'Excitatory' GABA Actions in Cortical
Interneurons: a Dynamical
Systems Approach', J. of Integrative Neuroscience, 3 (2004)
183-205. I. Tsuda and S. Kuroda,
'A Complex Systems Approach to an Interpretation of Dynamic Brain Activity
II: Does Cantor
coding provide a dynamic model for the formation of episodic memory?', Lecture
Notes in Computer Science, vol.3146,
129-139 (Springer-Verlag, 2004). I. Tsuda and H. Fujii, 'A
Complex Systems Approach to an Interpretation of Dynamic Brain Activity I:
Chaotic itinerancy
can provide a mathematical basis for information processing in cortical
transitory and nonstationary dynamics',
Lecture Notes in Computer Science, vol. 3146, 109-128.
(Springer-Verlag, 2004). I. Tsuda, H. Fujii, S.
Tadokoro, T. Yasuoka, and Y. Yamaguti, 'Chaotic Itinerancy as a Mechanism of
Irregular Changes
between Synchronization and Desynchronization in a Neural Network', J. of
Integrative Neuroscience, 3 (2004) 159-182. I. Tsuda and
S. Kuroda, `Cantor coding in the hippocampus', Japan Journal of Industrial
and Applied Mathematics 18(2)(2001)249-258. I.
Tsuda, Toward an interpretation of dynamic neural activity in terms of
chaotic dynamical systems, Behavioral and
Brain Sciences 24(5): 793-847 (2001). 主要著書 津田一郎、ダイナミックな脳,
岩波書店,
2002, 178ページ. 津田一郎、複雑系脳理論 ―「動的脳観」による脳の理解,
サイエンス社,
2002, 111ページ. K.
Kaneko and I. Tsuda, Complex Systems:
Chaos and Beyond -- A Constructive Approach with Applications in Life Sciences, Springer-Verlag Berlin, Heidelberg, New York,
2001, 273ページ. 金子邦彦,
津田一郎、複雑系のカオス的シナリオ、 朝倉書店
1996、
297ページ. 津田一郎、カオス的脳観、 サイエンス社
1990, 220ページ. |