(所属領域) 第一領域・公募班員          

(氏名)   青柳 富誌生            

(所属・職名) 京都大学・情報学研究科

       複雑系科学専攻・講師        

(電話)075-753-5939

FAXホームページ参照

(E-mail)

ホームページ参照

URL

http://www-fcs.acs.i.kyoto-u.ac.jp/~aoyagi

(メッセージ)

大学院時代の当初は物理(統計物理・非平衡系・非線形ダイナミクス)から研究を始めたのですが、もともと脳などの生命現象には興味があり、特に神経ネットワークの機能に興味を持ち数理モデルの研究を始めました。当時は Temporal coding が話題になっていた時期でもあり、発火タイミングを考慮した連想記憶モデルを解析したりしました。物理に関しては基本的な原理はかなり確立された感があり(当時は浅薄な知識で判断していましたが、、、)、もう一つの未踏の領域である生命現象、特に基本的な構成要素の物理法則からは必ずしも予想できない全体が協調して高度な機能を発現する点に魅力を感じました。その中でも、生命が生存のために編み出した一つの戦略としての情報処理器官である神経ネットワークは大変興味深く、情報理論や非線形ダイナミクスとも関係して、大変興味深いと思い、この分野に関わり始めました。数年前より、理論だけの抽象的なモデルだけでは限界を感じ(それはそれで良いところはあるのですが、よほどセンスがないと現実と遊離した世界になりがちです。現実を見ることから、現象を解明するうまい切り口を見つける事ができるかも知れないとう魂胆です。)、志を同じにする実験系の研究者と共同研究を始めています。私の興味は神経系ネットワークのダイナミックな側面がどのように機能と関わっているのか、またその中に共通の不変構造(何か新しい未発見の情報処理の原理というと大げさですが、結果としての生命は精巧な設計された部分と、進化の過程で獲得した非常に普遍性の高い構造があると思います。)を見いだすことにあります。以下に関連する論文を少し挙げます。

1.          Gamma Rhythmic Bursts: Coherence Control in Networks of Cortical Pyramidal Neurons, T. Aoyagi, T. Takekawa, T. Fukai, Neural Computation 15, 1035-1061(2003).

2.          The role of Ca2+-dependent cationic current in generating gamma frequency rhythmic bursts: modeling study, T. Aoyagi, Y. Kang, N. Terada, T., Kaneko and T. Fukai, Neuroscience, 115, 1127-1138 (2002).

3.         Oscillator neural network retrieving sparsely coded phase patterns, Toshio Aoyagi and Masaki Nomura, Physical Review Letters, 83, 1062-1065 (1999).

(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性)

実験系ではないので特に何もありませんが、以下の事項に関しては理論面からお力になれるかもしれません。

     複雑な神経細胞の数理モデルの同期特性や応答特性の解析(位相応答曲線など)

     神経系の数理モデル(各種イオンチャンネルやカルシウムダイナミクス等)の解析

     神経ネットワークのダイナミクスの理論

現在、データから神経活動の意味を探る逆問題にもBMIとの関連で興味を持っています。