(所属領域)   第1領域・公募班員        

(氏名)     船橋新太郎          

(所属・職名) 京都大学・大学院人間・環境学研究科           

     共生人間学専攻認知・行動科学講座・教授

(電話)075-753-6879

FAX075-753-7866

(E-mail)  h50400@sakura.

kudpc.kyoto-u.ac.jp

URL  http://www.users.kudpc.

kyoto-u.ac.jp/~h50400                  

(メッセージ)

大学院生として京都大学霊長類研究所の久保田競先生(当時)の研究室に入って以来、約25年間にわたって前頭連合野外側部の機能を探る研究をしています。この間に米国エール大学医学部のPatricia S. Goldman-Rakic教授のもとに約7年間滞在し、研究の進め方、考え方、論文の書き方など、彼女から大いに影響を受けました。「ワーキングメモリ」もその一つで、前頭連合野外側部の機能を考える上で非常に有効な概念だと考え、現在もなおこれを手がかりに前頭連合野の機能を考えています。

ところで、私が現在所属している部局では教員の約2/3がいわゆる文系に分類される方々で、このような環境の中で「サルを使った脳の基礎研究」を行うのは容易ではありません。なぜラットやマウスではなくサルを使うのか、この研究はわれわれの生活にどのように役立つのか、どんな病気を治すことができるのか。このような質問に丁寧に答えることによって、ようやく私の研究が部局内で認知されるようになってきました。どのように役立つのかと随分聞かれましたが、私が今まで行ってきた研究はあくまでも基礎研究で、すぐに何かに役立つ研究ではありませんでした。でも、何かに役立つ研究はできないものかと考えるようになり、思いついたのが注意欠陥/多動性障害(ADHD)に関する研究です。ADHDの本当の原因は不明ですが、前頭連合野外側部が関わっていることは確かです。これなら私の今までの経験を生かせると考えました。

統合脳で提案しましたADHDに関する研究はまだ始めたばかりで、期待したような結果が出るかどうかはわかりません。しかし、この研究によりADHDをもつ子供やその家族に少しでも貢献できたらと考えています。

ADHDとは関係ありませんが、最近の論文から

(1) Takeda, K. and Funahashi, S. (2004) Population vector analysis of primate prefrontal activity during spatial working memory. Cerebral Cortex, 14: 1328-1339.

(2) Funahashi, S., Takeda, K., and Watanabe, Y. (2004) Neural mechanisms of spatial working memory: contributions of the dorsolateral prefrontal cortex and the thalamic mediodorsal nucleus. Cognitive, Affective, and Behavioral Neuroscience, 4: 409-420.

(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性)

慢性・覚醒サルを用いた眼球運動系の実験・神経活動記録

大脳皮質前頭連合野での神経生理学的実験

Scleral search coil 法を用いた眼球運動の高精度測定