(所属領域)   第一領域・計画公募班員

(氏名)   田村伊佐 

(所属・職名) 自然科学研究機構大阪大学大学院生理学研究所生命機能研究科

       認知脳科学研究室行動発達機構研究部門教授

(電話)06564-685055-65387761

FAX06564-685755-54217766

(E-mail)  tamuratisa@nipsfbs.osaka-u.ac.jp

URL

http://www2.bpe.es.osaka-u.ac.jp/http://www.nips.ac.jp/hbfp/

(メッセージ)

脳における視覚情報処理様式の解明を目指した研究を、特に細胞の配置と神経回路に着目して進めています。将来的には、情報処理アルゴリズム解明のための個体レベルの研究まで、新規技術を開発しながら、総合的に研究を進めたいと考えています。

 最近は複数神経細胞活動同時計測技術を用いて大脳皮質視覚関連領野における局所回路の構成を研究しています。このためには、長時間計測したスパイク活動から機能的神経結合を推定する必要があります。

 そこで、統合脳では、複数神経細胞活動を長時間計測する技術の開発と検証に取り組んでいます。さらに計測データを解析する手法についての開発も進めています。

1. Tamura,H., Kaneko H., and Fujita,I. Quantitative analysis of functional clustering of neurons in the macaque inferior temporal cortex. Neurosci. Res. 52:311-322, 2005.

2. Shinomoto,S.,Miyazaki,Y.,Tamura,H.,and Fujita,I. Regional and laminar differences in in vivo firing patterns of primate cortical neurons. J. Neurophysiol. 94:567-575, 2005.

3. Tamura,H., Kaneko,H., Kawasaki,K., and Fujita,I. Presumed inhibitory neurons in the macaque inferior temporal cortex: visual response properties and functional interactions with adjacent neurons. J. Neurophysiol. 91: 2782-2796, 2004.

4. Wang,Y., Fujita,I., Tamura,H., and Murayama,Y. Contributions of GABAergic inhibition to receptive field structures of monkey inferior temporal neurons. Cerebral Cortex 12: 62-74, 2002.

5. Tamura,H. and Tanaka,K. Visual response properties of cells in the ventral and dorsal parts of the macaque inferotemporal cortex. Cerebral Cortex 11: 384-399, 2001.医学部の学生時代に出入りしていた研究室でやっていたことの先をもう少し知りたくなり、そのまま基礎研究の大学院に入学して20年が経過しました。遠大な目標があって脳研究を始めたわけではなく、その都度面白いと思うことを色々やってきたのですが、不思議なことに色々やってきた挙句、最近は20歳台後半の頃に「こういう研究ができたらよいな」と思っていたことに舞い戻って来たような感じです。勿論その頃イメージしていたことと比べると、方法論やアプローチの仕方はだいぶ違っていますが・・・

今は手指の器用な運動や眼球のサッケード運動を制御する神経回路についてその構造と機能を健常動物で解析するとともに損傷後の機能代償機構を調べることが主な研究のテーマです。方法はin vitroのスライス標本におけるパッチクランプ法を用いた実験から麻酔動物での電気生理、また覚醒マウスのサッケード運動から覚醒サルの行動実験と電気生理実験、さらにはサルを用いたPETによる脳機能イメージングなどを組み合わせています。また共同研究では機能代償過程での遺伝子発現なども調べています。

「統合脳」では色々な研究者と出会い、共同研究の輪が広がることを期待しています。

以下、ご参考までに最近の論文から・・・・

(1) Isa T (2002) Intrinsic processing in the mammalian superior colliculus. Current Opinion in Neurobiology, 12:668-677.

(2) Sasaki S, Isa T, Pettersson L-G, Alstermark B, Naito K, Yoshimura K, Seki K, Ohki Y (2004) Dexterous finger movements in primate without monosynaptic corticomotoneuronal excitation. Journal of Neurophysiology, 92:3142-3147.

(3) Sakatani T, Isa T (2004) PC-based high-speed video-oculography for measuring rapid eye movements in mice. Neuroscience Research, 49:123-131.

(4) Watanabe M, Kobayashi Y, Inoue Y, Isa T (2005) Effects of local nicotinic activation of the superior colliculus on saccades in monkeys. Journal of Neurophysiology, 93: 519-534.

(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性)

慢性・覚醒サルでの眼球運動系の実験・複数神経細胞同時計測技術神経活動記

局所薬物投与技術録、

in vivo 細胞内計測技術

大脳皮質運動野の微小電流刺激法・薬物局所注入、

麻酔下マウスでの脊髄上行・下行路の神経伝導計測

麻酔動物での電気生理実験、スライスパッチクランプ法、細胞内染色法、

マウスの眼球運動の高速度計測

(マウスの眼球運動系については担当者が1年間の留学で不在になりますが、他の技術について習得したい方を受け入れることは可能です。