(所属領域)第一領域・公募班員

(氏名)     椛 秀人

(所属・職名) 高知大学医学部神経統御学講座

       統合生理学教室・教授

(電話)088-880-2305

FAX088-880-2307

(Email)

kabah@med.kochi-u.ac.jp

URLhttp://www.kochi-ms.ac.jp/~ff_phsl1/index.htm

(メッセージ)

 Spinozaが「人間は社会的な動物である」と述べておりますように、私たちが求めて止まないものは人と人との絆であります。しかし、愛情で結ばれたはずの家族の中で、時として命を奪うほどの暴力が起こります。子どもの虐待問題についてみますと、全国の児童相談所に持ち込まれる虐待の件数は、年々増加の一途を辿っており、この問題への取り組みが社会的に強く求められています。人間の生態学的過程がいかに複雑であるかを深く認識し理解しなければなりませんが、人間における親子・夫婦の間の愛着行動を理解するためには、広範囲にわたる各種動物の詳細かつ正確な観察から学びとることが必要です。なぜならば、愛着行動は種の保存と維持に関わる基本的なものであることから、人間及び他の動物は、互いに共通した行動パターンを進化させてきたと考えられるからです。私たちは、種々の手法を多次元に併用することにより、特定の感受性期に匂いを手がかりとして形成される母と仔の絆、夫婦の絆のメカニズムを分子、細胞、システムレベルで解明することを目指しています。班員の先生方との共同研究へと発展できればと願っております。何卒よろしくお願い申し上げます。

(1) Zhang JJ, Okutani F, Inoue S, Kaba H: Activation of the mitogen-activated protein kinase/extracellular signal-regulated kinase signaling pathway leading to cyclic AMP response element-binding protein phosphorylation is required for the long-term facilitation process of aversive olfactory learning in young rats. Neurosicence 121: 9-16, 2003

(2) Okutani F, Zhang JJ, Otsuka T, Yagi F, Kaba H: Modulation of olfactory learning in young rats through intrabulbar GABAB receptors. Eur J Neurosci 18: 2031-2036, 2003

(3) Matsuoka M, Kaba H, Moriya K, Yoshida-Matsuoka J, Costanzo RM, Norita M, Ichikawa M: Remodeling of reciprocal synapses associated with persistence of long-term memory. Eur J Neurosci  19: 1668-1672, 2004

 

(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性)

嗅覚記憶の解析:フェロモン記憶(マウス)、幼若動物における匂い学習(ラット、マウス)

電気生理学的解析:スライスパッチクランプ法、麻酔動物でのin vivo電気生理

鋤鼻系のin vitro再構築系(鋤鼻ニューロンと副嗅球ニューロンとの共培養)でのイメージング解析       

(以上の技術を習得したい方の受け入れは可能です)