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(所属領域) 第一領域・公募班員 |
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(氏名) 福田孝一(ふくだたかいち) |
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(所属・職名) 九州大学大学院医学研究院 神経形態学・講師 |
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(電話)
092-642-6053 |
(FAX)092-642-6059 |
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(E-mail) fukuda@a3rd.med.kyushu-u.ac.jp |
(URL)
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(メッセージ) 九州大学に来た年に、学生の神経解剖実習に使われるヒトの大脳皮質のNissl標本を初めて見て一驚しました。それまで見ていたマウスやラットとは全然違った、見事なカラム状の配列と明瞭な層区分がそこにあったからです。そういうものがある(らしい)ということは、文字による解説や各種のスキームで、いわば常識として知っていたつもりでした(マウスやラットの標本を見ても、何だか言われてみればそんな風にも見えるという程度にしか正直言って見えていなかったのですが)。ところが今目の前にあるものは、数限りない細胞集団が整然とした顔をしてどこまでも顕微鏡下に広がり、その凛とした風情には厳かさすら感じさせるばかりでなく、誰の目にも、そこに何か秘密を持った秩序があることは明白と思われました。しかも詳しく見ていくと、さらに驚いたことに、縦と横の秩序立った構造は、機能的なマップがあきれるほど細分化されている一次の感覚性皮質では案外不明瞭であって、連合野でこそくっきりと見えている。特殊化したバレル等とはまた違った機能原理が、我々の汲めども尽きぬ創造や豊かな感情の背景にあるに違いない。そのようなことを今も漠然と考えているわけですが、何故自分の直接の専門でないこのような不確かなことを書いたかというと、ニューロンや神経組織の分かっているつもりでも実は不確かな「実際の」構造をじっくりと見ていくことが、極めて複雑な、統合的にしか本当のことが解明されないであろう脳の研究において、恐らく鍵となるに違いないと考えるからです。ボトムアップ研究とトップダウン研究の関係についてしばしば論じられますが、形態は分子から個体までの各レベルを貫く共通の軸であり、シナプスや樹状突起や神経回路の本当の形のことを、まず我々形態学者がもっと突き詰めなければならないと感じています。そのことが、神経科学のさまざまな分野において実際に即して分析が深められていく足場になる。「神は細部に宿る」—システムの理解を、現実のdetailに潜む鍵構造から逆に再構築していく、などというだいそれたことを言うのはおこがましい限りですが、せっかくの機会なので書いてみました。研究の詳細は第一領域第一回班会議の記録(班員のための連絡ページ)をご参照下さい。 |
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(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性) 電子顕微鏡による微細構造、特に神経細胞間のgap junctionの同定。共焦点レーザー顕微鏡であらかじめ広い領域から3次元的に同定した微細構造(単一のシナプス終末、gap junctionなど)を、電顕で直接観察する手法。共焦点レーザー顕微鏡を用いた、多数のシナプスの個々のものにおける、シナプス局在分子の量の定量的解析。 |