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(所属領域) 第一領域 |
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(氏名) 中村 俊 |
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(所属・職名) 国立精神・神経センター 神経研究所・部長 |
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(電話)
81-423-46-1722 |
(FAX)
81-423-46-1752 |
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(E-mail) nakamura@ncnp.go.jp |
(URL)
http://www.ncnp.go.jp |
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(メッセージ) 16年度までは、特定領域「先端脳」に参加し、体性感覚野の機能発達に関して、神経発生学的ならびにシナプス可塑性の電気生理学的解析という角度から研究を行ってきました。脳の発達と機能は、遺伝的なプログラムと経験にもとづく学習の両側面からその絶えざる相互作用としてのみ理解することができます。とくに生後の臨界期と呼ばれる時期は両者が強く相互作用して脳が発達し、それは生物個体の生涯にわたる変化となります。この研究の発展として、私は、生物社会のなかにおける個体の社会性行動の発達に関して研究をおこなうことを計画し、動物モデルを確立することを開始しました。したがって「先端脳」の次の大きな脳研究プログラムとして、本「統合脳」が17年度からスタートしたことは大変に時期にかなっています。それというのも、脳機能の素過程を神経系細胞の発生、神経回路の形成、局所回路の出力調整、シナプスの可塑性などについて詳しく研究することは今後も重要な課題ですが、それを鳥瞰するような立場から、脳のシステムとしての働きを行動や心理というレベルでトータルに理解するということが、可能になりつつあり、また我々の興味をつよくひきつけるものとなっているからです。なかでも社会性行動の研究は、人間の知性や言語機能を理解するための土台の一つとして重要な研究課題であると考えます。人間の知性は道具使用などの認知機能とはことなる社会関係の理解とそれへの適応を通して、進化したと考える立場があります。私は、自然環境を含めた、社会関係というひとつの「場」において、身体をもつ個体間の相互作用のなかで脳機能が絶えざる再組織化をうけていると考えていて、それを社会性行動の創発という具体的な現象に即して神経生物学的な視点から解明してゆきたいという希望を持っています。その点で、「統合脳」の研究プログラムに参加することは大変に意義深いことだと考える次第です。新しい実験技術にも挑戦してゆきたいと考えておりますので、皆様のご指導、共同研究の推進をよろしくお願い致します。 |
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(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性) 1.脳の機能野の発生学的仕組みを明らかにするために、胎生期のマウス終脳の特定の領域に発現している遺伝子を、affymetrix のDNAチップを用いて網羅的に解析している(Funatsu et al, Cerebral Cortex, 2004)。共同研究として、この解析システムを利用することが可能である。 2.急性脳切片を用いたパッチクランプによる電気生理学的解析、とくに視床―皮質投射を保存したスライスの作製、光イメージングによる神経活動の計測が可能である。 3.BACシステムを用いたプロモーター解析のシステムが確立されている(井上高良)。 |