(所属領域)   第二領域・計画班員

(氏名)     小松 英彦

(所属・職名)  自然科学研究機構・生理学研究所

       感覚認知情報部門・教授    

(電話) 0564-55-7861

FAX) 0564-55-7865

(E-mail) komatsu@nips.ac.jp

URLhttp://www.nips.ac.jp/scinfo/

(メッセージ)

我々が何気なく毎日行っているものを見るという働きの裏に、実に多くの精巧な仕組みが隠れていることは、今さら言うまでもありません。しかし、良くできた視覚心理物理のデモは、何度見ても新鮮な驚きを与えてくれます。画像の中に含まれるさまざまな特徴を手がかりにして、脳は画像を読み解く訳ですが、その過程は高度な論理的推論にも匹敵するものです。人間のもつ推論や思考などの認知機能の仕組みに迫るために、それに直接アプローチすることはもちろん大事なアプローチですが、動物で視覚の仕組みを理解することは、きっと認知機能の本質に近付く大道に違いないと思っています。また視知覚において用いられる画像中のさまざまな特徴は、自然界の物理的な法則や世界で起きる現象の規則性を反映しています。我々は自然界に適応して生存してるので、これは当然と言えるかも知れません。しかし、その内容をよく知ることによって我々が自然界の中でどのような存在であるかということをより深く理解することができ、また逆に世界が思いもかけない規則性を秘めているということも同時に理解されてくるのだと思います。統合脳ではこのようなことを考えながら、色知覚の背後にある脳の仕組みをサルで調べます。視覚野におろした電極から脳細胞の活動を記録する訳ですが、この電極を通して脳の中を探ると同時にそれを取り囲む世界の本質を探りたいと考えています。

 

[最近の論文]

(1) Tani T, Yokoi I, Ito M, Tanaka S, Komatsu H (2003) Functional organization of the cat visual cortex in relation to the representation of uniform surface.  Journal of Neurophysiology, 89: 1112-1125.

(2) Ogawa T, Komatsu H (2004) Target selection in area V4 during multi-dimensional visual search task.  Journal of Neuroscience, 24:6371-6382.

(3) Matsumoto M, Komatsu H (2005) Neural responses in the macaque V1 to bar stimuli with various lengths presented on the blind spot.  Journal of Neurophysiology, 93: 2374-2387.

(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性)

慢性サルの視覚野、視覚関連領野からのニューロン活動記録

眼球運動を正確に計測した状態でのサルの視覚行動実験

ヒトの視覚心理物理学実験