(所属領域)   第2領域・公募班員

(氏名)    篠本

(所属・職名)   京都大学 理学研究科       

       物理学専攻・助教授   

(電話)075-753-3778

FAX075-753-3819

(E-mail)  shinomoto@scphys.kyoto-u.ac.jp

URL

http://www.ton.scphys.kyoto-u.ac.jp/~shino/

(メッセージ)

理論物理に出現した「脳の連想記憶モデル」に手を出したことが縁で,脳に興味を抱くようになり,甘利先生,外山先生という強烈な個性に順次指導していただいております.研究はトップダウンモデリングから始まり,数理統計理論,そしてデータに基づいた実証的ボトムアップモデリング,と,内容やスタイルを大きな振幅で変化させてきました.現代のサイエンスは,形式理論やトップダウンモデリングの「理論の時代」が終わって,実験データに基づいた実証的ボトムアップモデリング・解析の「実証の時代」に入ったという時代認識を持っています.

現在「局所変動係数Local Variation, Lv」と名付けた新統計量を提案し,in vivoスパイク時系列を解析し,スパイク特性が領野によって大きく異なること,同一領野の神経細胞集団が2グループに大別できて,それらが異なる細胞層に偏在していること,を調べています.スパイク統計性の違いをさらに系統的に調べるため,現代的な統計手法であるempirical Bayes methodに基づいた統計解析ツールも開発しました.現在はそれらの手法を総動員してデータ解析に当たろうとしています.これらの研究を推し進める一方で,細胞通電実験のデータに基づいて神経細胞のスパイク生成の「入出力関係」を定量的にモデル化,パラメータ選択し,データ予測を行うことも開始しています.

 

Empirical Bayes interpretations of random point events

S. Koyama and S. Shinomoto, J. Physics A (2005) in press.

Regional and laminar differences in in vivo firing patterns of primate cortical neurons

S. Shinomoto, Y. Miyazaki, H. Tamura and I. Fujita, J. Neurophysiol. (2005) in press.

Predicting spike timings of current-injected neurons

Y. Tsubo, T. Kaneko and S. Shinomoto, Neural Networks 17 (2004) 165-173.

Differences in spiking patterns among cortical neurons

S. Shinomoto, K. Shima and J. Tanji, Neural Computation, 15 (2003) 2823-2842.

(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性)

新統計量「局所変動係数Local Variation, Lv」によるスパイク時系列の解析.現在,探索範囲を広げ,神経スパイク特性に基づいた脳地図を作成すべく情報収集を開始しています.

データ提供いただけるグループは

http://www.ton.scphys.kyoto-u.ac.jp/~shino/datahandling.htmを参照してください.スパイク統計性の違いをさらに系統的に調べるため,empirical Bayes methodに基づいた統計解析ツールも開発し,さらに拡張発展させています.これ以外にも PSTHにおける最適ビン幅決定の理論論文を執筆中でプログラムも近々公開の予定.

論文にされたスパイクデータでよいですから提供してください.再活用して見せます.