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(所属領域) 第三領域・計画班員 |
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(氏名) 五十嵐 道弘 |
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(所属・職名) 新潟大学・医歯学系・教授 (分子細胞機能学) |
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(電話)025-227-2083
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(FAX)
025-227-0758 |
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(E-mail) tarokaja@med.niigata-u.ac.jp |
(URL)
http://www.med.niigata-u.ac.jp/bc2 |
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(メッセージ) ずっと成長円錐を研究しているが、4年ほど前に研究基盤を現在の所属に移してから、ここしばらくは個別の分子の役割よりも、プロテオミクスによって分子基盤の全体像を明らかにすることに集中している。成長円錐の分子基盤の研究のように、関与する分子が極めて多数にのぼる場合には、最初から個別の蛋白質に焦点を絞ることより、存在する分子の全体像を把握することが研究戦略上、最も重要な情報と考えたことによる。これはそれ以前の10年間に成長円錐を研究してきた結論でもある。 これまで900種類の蛋白質を同定し、それらを細胞骨格、小胞輸送系、受容体、情報伝達因子などのカテゴリーに分類した。これらの分子情報は、成長円錐の多様で複雑な機能を最低限説明可能な、基本の分子経路をすべて含んでいると考えている。これをもとに現在、100種類程度について免疫細胞化学を行い、局在性をいくつかのパターンに分類しつつある。またこれらに関する蛋白質間相互作用の解析をいくつかの違ったラインから進めており、既に数種類の興味深い相互作用を見出した。この特定領域研究の5年間でsiRNAやイメージングも用いて、網羅的に成長円錐の機能の基盤を証明することを目指したい。 また成長円錐ではシナプス終末の開口放出事象と違って、submicromolar rangeのCa2+濃度が機能的に重要であるが、シナプス終末でも同様の微小Ca2+濃度が小胞のリサイクリングに重要であることが生理学的には指摘されていた。しかしこれを支える分子間相互作用が明らかでなかったが、われわれの研究から、自己リン酸化型CaMKII、および小胞の局所輸送モーター分子myosin-Vが膜のsyntaxinとsubmicromolar rangeのCa2+依存性に結合することで、効果的に開口放出の調節を行っていることを証明した (J Neurosci 22: 3342-51; 及びMol Biol Cell, 16: in press; http://www.molbiolcell.org/cgi/reprint/E05-03-0252v1)。 こちらの研究は、これまで専門外の分野であったため、数多くの共同研究者にお世話になってきた。現在はsyntaxinに関して上記相互作用の低下が予想されるノックインマウスの作成を進めており、その詳細な解析にはまた数多くの新たな共同研究者の方々が必要となろう。近未来の共同研究者の多くは、「統合脳」5領域の班員の方々であると思われるので、この班で数多くの交流を期待している。 |
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(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性) 1) 蛋白質の精製、発現、相互作用解析に関する生化学、分子細胞生物学的研究技術 2) 培養神経細胞における成長円錐の形態変化の解析(特にラット大脳皮質、ニワトリ後根神経節、網膜神経節細胞) 3) 開口放出の調節に関するsyntaxin関連の分子プローブ |