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(所属領域) 第3領域・計画班員 |
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(氏名) 尾藤 晴彦 |
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(所属・職名) 東京大学大学院医学系研究科 神経生化学分野・助教授 |
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(電話)03-5841-3559 |
(FAX)03-3814-8154
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(E-mail) hbito@m.u-tokyo.ac.jp |
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(メッセージ) 記憶・学習を含め、様々な脳高次機能の基盤には、特異的な入・出力関係を保持する神経回路網が存在しています。このニューラル・ネットワークは決して静的な神経細胞集団ではなく、神経細胞間、あるいは神経細胞内の多種多様なシグナル伝達機構によってダイナミックに制御されることが明らかになってきています。 すなわち中枢神経系を構築しているニューラル・ネットワークには、2つの普遍的な特徴があります。一つは、一定のプログラミングによって、普遍的に神経細胞同士が結合し、機能的なシステムを作り上げる「設計図」とそれを間違えずに読み出す、厳格な「文法」の存在です。もう一つは、個体ごとに内部・外部の環境の変化に刻一刻と対応できる「適応性・順応性」の存在と、過去の経験の記憶に基づき応答を修飾していく内在的な「学習能力」が備わっていることです。 このように「剛」と「柔」の特性を兼ね備える神経回路網を支えているシグナル伝達機構は、神経細胞特有の電気的シグナルと、すべての細胞に普遍的な化学的シグナルの密接な絡み合いから成り立っていることを、我々を含む多くのグループが解明してきました。我々は現在、初代培養神経細胞のシステムを手がかりに、このような一つ一つのシグナルを同定し、その作動原理を明らかにすることを試みています。 具体的には、1)長期記憶などを制御する活動依存的Ca2+シグナリングの分子的実体の解明を試み(Deisseroth, Bito et al. Neuron
16: 89-101, 1996; Bito et al. Cell
87: 1203-1214, 1996; Bito. Cell
Calcium 23: 143-150, 1998; Sée et al. FASEB J. 15: 134-144, 2001; Takemoto-Kimura et al. J. Biol. Chem., 278: 18597-18605,
2003.; Bito and Takemoto-Kimura. Cell Calcium, 34: 425-430, 2003)、2)またこのような活動に並行してRhoなどのシグナリングにより、いかに神経細胞の形態・接着・移動の調節が行われているか(Furuyashiki et al. J.
Neurosci. 19: 109-118, 1999; Furuyashiki et al. Proc. Nat. Acad. Sci. USA 99: 14458-14463, 2002)、に着目しています。さらに3)分裂停止直後の丸い神経細胞からいかに最初の神経突起が生まれるのかを決定する分子機構についても知見を得ています(Bito et al. Neuron
26: 431–441, 2000; Arakawa et al. J.
Cell Biol.161: 381-391, 2003)。 |
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(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性) シナプス内および近傍における活動依存的シグナリングを定量する目的で、 1)蛋白酵素化学、キナーゼアッセイ、蛋白脂質修飾のアッセイ 2)神経細胞への遺伝子導入法 (lipofection, 遺伝子銃、ウィルスベクター, RNAi) 3)培養神経細胞・切片における分子動態のライブ・イメージング に関する基盤技術の開発改良にもチャレンジしています。 |