(所属領域)   第3領域・計画班員

(氏名)      鍋 俊

(所属・職名)  東京大学・医科学研究所

       神経ネットワーク分野・教授

(電話)03-5449-5799

FAX03-5449-5794

 (E-mail)

manabe-tky@umin.ac.jp

URL

http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/NeuronalNetwork

/Neuronal_Network/Index_japanese.htm

(メッセージ)

 私たちの研究室では、高次脳機能の分子機構を明らかにすることを目的として、分子レベルから細胞・ネットワークレベル、さらには個体レベルでの総合的な解析を行っています。高次脳機能でも、特に、海馬が関係するような学習・記憶機構や、扁桃体が関与するとされる情動に焦点を当てて、生理学的な立場から自ら作製した遺伝子改変マウスや、共同研究で開発された遺伝子改変マウスの脳スライス標本を用いた電気生理学的解析や生化学的解析を行うとともに、これらの個体マウスを用いた行動学的解析を積極的に進めています。このようなアプローチにより、これまで蓄積されてきた細胞レベルでの知見と個体レベルでの知見をつなげることを目指しています。多方面からの総合的アプローチにより両レベル間のブラックボックスを打破することができるものと信じています。

 特定領域研究では、これまでも数多くの研究室と共同研究を進めてきましたが、この「統合脳」でも、そのような協力関係がさらに深まることを期待しています。私たちの研究室では、ヘテロな人間が集まり多種多様なプロジェクトを進めていますが、私自身は電気生理学が最も得意だということもあって、研究室員も電気生理を中心にしている人が最も多いです。そのようなことから、他研究室で開発された遺伝子改変マウスの電気生理学的解析を依頼されることが多く、これまでにかなりの経験を有していますので、「統合脳」でも、今後、その方面での協力ができればと考えています。

 最後に、最近の論文を二つ載せさせていただきます。

Niisato, K. et al.: Age-dependent enhancement of hippocampal long-term potentiation and impairment of spatial learning through the Rho-associated kinase pathway in protein tyrosine phosphatase receptor type Z-deficient mice. J. Neurosci. 25:1081-1088, 2005.

Nakatsu, F. et al.: Defective function of GABA-containing synaptic vesicles in mice lacking the AP-3B clathrin adaptor. J. Cell Biol. 167:293-302, 2004.

(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性)

電気生理学:神経培養細胞や脳スライス標本を用いた細胞外電位記録、パッチクランプ記録、光学測定など電気生理学的解析全般

生化学・分子生物学:一般的な技術・解析全般

行動学:運動能力、記憶能力、情動などに関する行動学的解析全般

(遺伝子改変マウスの作製や生化学的解析から、細胞・ネットワークレベルでの機能解析、さらには、個体マウスやラットを用いた行動学的解析まで、総合的な研究を行っています)