(所属領域)  第三領域・公募班員

(氏名)     仲嶋 一範

(所属・職名) 慶應義塾大学・医学部

        解剖学教室・教授    

(電話)03-3353-1211

FAX   03-5379-1977

(E-mail)

kazunori@sc.itc.keio.ac.jp

URL                    

http://web.sc.itc.keio.ac.jp/anatomy/nakajima/index.htm

(メッセージ)

 医学生時代に、「単細胞生物がガンになったらどんな不都合があるだろう?」という妙な疑問を持ち、「単細胞生物のように一細胞で何でもできる(一生をまわせる)スーパー細胞の集合体という方向に進化が進まなかったのは何故だろう?」と考えるようになったのが、基礎研究に入るきっかけになりました。多細胞生物の体は、構成要素である個々の細胞から見ればとてつもなく巨大な構造体であるにも関わらず、その形が世代や個体を超えて極めて再現性良く「自然に」発生してくる仕組みに興味を持っています。発生過程で生きた細胞たちが見せるダイナミックな形の美しさに感動しながら、個々の細胞の性質と細胞間の相互関係が決まることで、いかにして「全体」の形が出来上がっていくのかを調べています。

 具体的には、主に大脳皮質を対象にして、1) 神経細胞誕生時において、その後の挙動・最終配置に関していかなる制御が行われるのか? 2)神経細胞の誕生部位から最終配置部位への移動は、どのような制御を受けて正しく行われるのか? 3) 最終配置部位において移動を終え、分化成熟して見事に整然と配列する仕組み(特に細胞間相互作用と細胞外シグナルによる制御)はどうなっているのか? の主として3つの側面から、機能的神経細胞社会の形成機構の解明を目指した研究を行っています。最近は、シミュレーションやbioinformatics等計算機を使った実験も少しかじっています。「統合脳」では、いろいろな分野の先生方からご指導いただき、様々な視点からの議論ができたらと願っています。

 以下は、最近のいくつかの論文です。

1) The caudal migratory stream: a novel migratory stream of interneurons derived from the caudal ganglionic eminence in the developing mouse forebrain. Masato Yozu, Hidenori Tabata, and Kazunori Nakajima. J. Neurosci., 25 (31), 7268-7277 (2005).

2) Birthdate-dependent-segregation of the mouse cerebral cortical neurons in reaggregation cultures. Itsuki Ajioka and Kazunori Nakajima. Eur. J. Neurosci., 22 (2), 331-342 (2005). 

3) Birth-date dependent alignment of GABAergic neurons occurs in a different pattern from that of non-GABAergic neurons in the developing mouse visual cortex. Masato Yozu, Hidenori Tabata, and Kazunori Nakajima. Neurosci. Res. 49 (4), 395-403 (2004). 

4) Multipolar migration: the third mode of radial neuronal migration in the developing cerebral cortex. Hidenori Tabata and Kazunori Nakajima. J. Neurosci., 23 (31), 9996-10001 (2003).  

(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性)

・マウス子宮内胎児脳に対する電気穿孔法による遺伝子導入(国内外から多数の方が実験しに来られており、受け入れ可能です。)

・脳スライスを用いた共焦点多点タイムラプス観察技術(同上)

・全大脳半球培養法を用いた局所的遺伝子導入と細胞移動の三次元的観察(同上)