(所属領域)   3領域・公募班員

(氏名)    田辺 康人

(所属・職名) ()三菱化学生命科学研究所・研究部門         

   神経構築研究チーム、主任研究員

(電話)042-724-6233

FAX042-724-6312

(E-mail)

ytanabe@libra.ls.m-kagaku.co.jp

URL  

http://www.mitils.co.jp/introduction/index.html

(メッセージ)

大学院時代は、京都大学中西研究室にて、代謝型グルタミン酸受容体遺伝子のクローニングおよび機能解析の研究に従事しました。その後、神経系をその生まれの根本から積み上げていくことで理解していきたいと考え、コロンビア大学のTom Jessell博士のもとでポスドクとして働き、脊髄パターン形成、運動ニューロンの発生機構などの研究に携わる機会を得ました。現在は、大脳皮質を系として、それを構成する個々の神経細胞として代表的なCajal-Retzius細胞、皮質投射ニューロン、皮質介在ニューロンの3者に解析の焦点をあて、それら個々の構成要素にはどのような多様性があり、どのような性質を持つのか、更にはこれら3者がどのような順序、関係性で作用し合い、皮質層・領域形成へと至るのかを解析の対象としています。

神経系に対して皆さんいろいろな立場からご興味を持たれて研究を進められているわけですが、あなたは何がそんなにおもしろいのかと尋ねられれば、どのようにお考えでしょう?自分自身にとっては、それが「可塑性」、変わりうるんだという性質をもっていること、また、神経系を構成している個々の神経細胞は様々な「個性」をもち、そこには「多様性」があり、それらがある「関係性」の中で互いに依存し全体として統合されて機能しているといった非常に人間味あふれる性質をもっているからだと考えています。今の自分の研究の中でのテーマは、突き詰めて言えば、対象としたものが「どのようにまたどれだけ変わりうるのか」「そこには何が在るのか」「どういった(隠された)関係性があるのか」といったことであり、これは翻れば立場は違え皆さんと共有している普遍的なものかと思います。統合脳においては、(決して扱っている現象によって分断されるのではなく)そういった普遍的なテーマを皆さんひとりひとりがどういった系を用いてどういったアプローチで研究されているのか、そして、そこにどのようなクリエイティブな世界を展開させているのかを見知りすることができればと考えております。ほとんどの班員の方には初めてお会いすることかと思います。もちろん、皆様とお知り合いになれるのが、私にとって統合脳に最も期待していることですので、なにとぞよろしくお願いいたします。

(以下、主な参考文献)

(1) Tanabe, Y et al., A family of metabotropic glutamate receptors. Neuron. 9:169-179.1992.

(2) Tanabe, Y et al., Specification of motor neuron identity by the MNR2 homeodomain protein. Cell 95, 67-80, 1998.

(3) Takiguchi-Hayashi K, et al., Generation of reelin-positive marginal zone cells from the caudomedial wall of telencephalic vesicles. J. Neurosci. 24, 2286-95, 2004.

(4) Hasegawa H, et al., Laminar Patterning in the Developing Neocortex by Temporally-Coordinated FGF Signalling. J. Neurosci.24, 8711-8719, 2004.

(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性)

方法論的には、電気的穿孔法を用いたin vivoマウス胎仔終脳の個々の神経細胞の標識系、遺伝子導入系、ならびに、個々の神経細胞由来の発現遺伝子増幅系(single cell PCR)を有しています。