(所属領域)   領域・公募計画班員

(氏名)   畑 裕伊佐 正

(所属・職名) 東京医科歯科大学・大学院医歯学総合研究科自然科学研究機構・生理学研究所

      病態代謝解析学分野 認知行動発達機構研究部門・教授

(電話)03-5803-5164564-55-7761

FAX03-5803-0121564-55-7766

(E-mail)  

yuhammch@med.tmd.ac.jptisa@nips.ac.jp

URL

http://www.tmd.ac.jp/med/mmch/http://www.nips.ac.jp/hbfp/

(メッセージ)

統合脳に加えて頂き有難う御座います。低分子量G蛋白の生化学的研究から神経伝達物質放出機構に興味を持ったのが神経科学との出会いです。さらに留学中に神経シナプスの接着分子に関心がシフトして、この10年間ほどは神経シナプス接着機構が研究のテーマになっています。元来が「ものとり屋」であるためゲノム計画が終了したあとの研究展開には種々悩むところもありましたが、最近はヒト脳の高次機能障害との関連に興味をもっています。神経科学そのものから研究をスタートしたのでないため、未だに何かと勉強不足を痛感することが多く、統合脳を通じていろいろとご教示を頂きたいと思います。

 

1) 医学部の学生時代に出入りしていた研究室でやっていたことの先をもう少し知りたくなり、そのまま基礎研究の大学院に入学して20年が経過しました。遠大な目標があって脳研究を始めたわけではなく、その都度面白いと思うことを色々やってきたのですが、不思議なことに色々やってきた挙句、最近は20歳台後半の頃に「こういう研究ができたらよいな」と思っていたことに舞い戻って来たような感じです。勿論その頃イメージしていたことと比べると、方法論やアプローチの仕方はだいぶ違っていますが・・・

今は手指の器用な運動や眼球のサッケード運動を制御する神経回路についてその構造と機能を健常動物で解析するとともに損傷後の機能代償機構を調べることが主な研究のテーマです。方法はin vitroのスライス標本におけるパッチクランプ法を用いた実験から麻酔動物での電気生理、また覚醒マウスのサッケード運動から覚醒サルの行動実験と電気生理実験、さらにはサルを用いたPETによる脳機能イメージングなどを組み合わせています。また共同研究では機能代償過程での遺伝子発現なども調べています。

「統合脳」では色々な研究者と出会い、共同研究の輪が広がることを期待しています。

以下、ご参考までに最近の論文から・・・・

Iida J, Hirabayashi S, Sato Y, Hata Y.  Synaptic scaffolding molecule is involved in the synaptic clustering of neuroligin.  Mol Cell Neurosci 2004 27;497-508.

2) Hirabayashi S, Nishimura W, Iida J, Kansaku A, Kishida S, Kikuchi A, Tanaka N, Hata Y.  Synaptic scaffolding molecule interacts with Axin.  J Neurochem 2004 90;332-339.

3) Yao I, Iida J, Nishimura W, Hata Y.  Synaptic and nuclear localization of brain-enriched guanylate kinase-associated protein.  J Neurosci 2002 22;5354-5364.

4) Nishimura W, Yao I, Iida J, Tanaka N, Hata Y.  Interaction of synaptic scaffolding molecule (S-SCAM) and beta-catenin.  J Neurosci 2002 22;757-765.

(1) Isa T (2002) Intrinsic processing in the mammalian superior colliculus. Current Opinion in Neurobiology, 12:668-677.

(2) Sasaki S, Isa T, Pettersson L-G, Alstermark B, Naito K, Yoshimura K, Seki K, Ohki Y (2004) Dexterous finger movements in primate without monosynaptic corticomotoneuronal excitation. Journal of Neurophysiology, 92:3142-3147.

(3) Sakatani T, Isa T (2004) PC-based high-speed video-oculography for measuring rapid eye movements in mice. Neuroscience Research, 49:123-131.

(4) Watanabe M, Kobayashi Y, Inoue Y, Isa T (2005) Effects of local nicotinic activation of the superior colliculus on saccades in monkeys. Journal of Neurophysiology, 93: 519-534.

(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性)

あまり特別な技術を所有しておりませんが、たちが見出した神経シナプスの分子については遺伝子・抗体(必ずしも全ての抗体が良いものではありませんが・・・)を供与できます。お気軽にご相談ください。慢性・覚醒サルでの眼球運動系の実験・神経活動記録、

大脳皮質運動野の微小電流刺激法・薬物局所注入、

麻酔下マウスでの脊髄上行・下行路の神経伝導計測

麻酔動物での電気生理実験、スライスパッチクランプ法、細胞内染色法、

マウスの眼球運動の高速度計測

(マウスの眼球運動系については担当者が1年間の留学で不在になりますが、他の技術について習得したい方を受け入れることは可能です。