(所属領域)    領域3・公募班員

(氏名)      小松 由紀夫

(所属・職名)名古屋大学・環境医学研究所         

高次神経統御部門・視覚神経科学分野・教授          

(電話) 052-789-3877

FAX)052-789-3894

(E-mail)    

komatsu@riem.nagoya-u.ac.jp

URL)

http://www.riem.nagoya-u.ac.jp/

(メッセージ)

大学院生の時からスライス標本を用いて視覚野のシナプス可塑性を研究しています。最初の10数年は仔猫を使いました。当時はネコを実験に使うことに問題ありませんでしたが、しだいに愛玩動物を実験に使用することに対する批判が増えました。また、実験に必要なだけの数の仔猫を研究室で繁殖・飼育するのに大変な労力がかかりました。私が仔猫の視覚野で見出した興奮性シナプスの長期増強はNMDA受容体に依存せず、Ni2+感受性のCa2+チャネルの活性化を誘発に必要とします。同じころにラットを用いた研究により、視覚野においても海馬で見られるものと同様なNMDA受容体依存性の長期増強と長期抑圧が起こることが報告され、ネコとラットでは違うのかなと当時は思いました。そのころ抑制性シナプスにも長期増強と長期抑圧がネコとラットの視覚野で起こることに気がつき、それ以来ラットを用いて研究しています。抑制性シナプス可塑性の研究を10年ほど続けてきましたが、5年ほど前に興奮性シナプスの可塑性の研究を、ラットを用いて再開しました。意外なことに、ラットでもネコと同様にNMDA受容体非依存性の長期増強が起こることが分かりました。このように、視覚野には多種類のシナプス可塑性が存在することが分かりましたので、その機能的役割を明らかにしたいと考えています。現在、多種類あるシナプス可塑性のどれが片眼遮蔽による眼優位性の可塑性に関与するか、また、どのように関与するかを調べています。最近の研究については以下の文献をご参照ください。

1  Takada N,, Yanagawa Y., and Komatsu Y., Activity-dependent maturation of excitatory synaptic connections in solitary neuron cultures of mouse neocortex. Eur. J. Neurosci. 21: 422-430, 2005.

2  Liu H.N., Kurotani, T., Ren, M., Yamada, K., Yoshimura, Y. and Komatsu, Y., Presynaptic activity and Ca2+ entry are required for the maintenance of NMDA receptor-independent LTP at visual cortical excitatory synapses. J. Neurophysiol. 92: 1077-1087, 2004.

3  Yoshimura, Y., Ohmura, T. and Komatsu Y., Two forms of synaptic plasticity with distinct dependence on age, experience and NMDA receptor subtype in rat visual cortex. J. Neurosci., 23: 6557-6566, 2003.

 

(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性)

スライスを用いた電気生理学的実験:パッチ電極によるホール・セル記録、2個の細胞からの同時記録、ガラス微小電極による細胞内記録