(所属領域) 第三領域・公募班員 

(氏名)     岩里 琢治   

(所属・職名)理化学研究所・脳科学総合研究センター・

    行動遺伝学技術開発チーム・副チームリーダー   

(電話)048-462-1111 (7712)

FAX048-467-9725

(E-mail) iwasato@brain.riken.jp

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(メッセージ)

京都での大学院、学術振興会特別研究員時代は、免疫細胞での V(D)J 組換え、クラススイッチ組換えの機構について研究していました。神経科学の世界に足を踏み入れたのは、十数年前MITにポスドクとして留学してからです。利根川進先生の免疫から神経への華麗な転身に触発されたのですが、結果として、免疫から神経への世界的な民族大移動の潮流の中にいたことになります。利根川研究室において、私は当初、記憶など脳の高次機能の研究を目指していました。しかし、苦労して作製したマウスがどうやっても長生きせず、成体での記憶研究は諦めざるを得ませんでした。それで、発達期における記憶ともいうべき活動依存的発達、のモデルとしてのバレル形成の研究をはじめることにしました。はじめて脳の形態をじっくりみてみると整然とした構造が非常に美しく、その中でもバレルは格別で、このようなものが存在するというのは神秘そのものと思われました。それ以来、バレルにはまっています。1998年に帰国し、当時できたばかりの理研BSIに移ってからは、Cre/loxPを用いた条件的遺伝子ノックアウトを主要な手法としています。バレル形成の分子機構はほとんど未開拓の分野です。ノックアウト(特にconditional)は、労力、費用が膨大にかかり、成否がわかるまでの時間も数年かかるので、非常にリスクが高い実験系といえますが、この目的には最も有効な方法論であることは自明です。たとえスピードが遅くても出来る限りもっとも質の良いデータを集め、その上で議論をすることを目指して、日夜地道に研究に励んでいます。最近は、もう一歩踏み出そうと試みていますが、勉強しないといけないことが一杯あります。「統合脳」はそのための重要な場だと考えています。

  (主要論文)

1.          Iwasato, T.et al. Genesis  38, 130-138  (2004)

2.          Datwani, A., Iwasato, T. et al., J. Neurosci. 22, 9171-9175  (2002).

3.          Iwasato, T.,et al.  Nature  406, 726-731  (2000). 

4.          Iwasato, T. et al. Neuron  19, 1201-1210  (1997).

(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性)

これまでのところ、トランスジェニックマウス、ノックアウトマウスをみずから作製し、解析する、ということを中心的な手法としてやってきています。これまでにも何種類かのマウスを作っていますし、まだしばらくは作ることになると思います。1種類のマウスも、アイデアしだいで、多くの目的に使えるはずです。生まれてきたミュータントマウス達が報われるよう、最大限活用したいと思います。