(所属領域)         分子脳科学

(氏名)          野田 亮

(所属・職名)  京都大学大学院医学研究科・教授    

(電話) 075-751-4150

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(メッセージ)

研究課題:神経細胞の運命決定および動態制御における細胞外マトリックス・リモデリングの役割

研究内容:神経細胞の移動や突起伸長などの挙動を支える重要な要素として細胞外マトリックス(ECM)があるが、従来の研究はECM受容体やそのシグナル伝達機構などに重点が置かれたものが多かった。私達は、神経分化を含む多くの生命現象に関わることが知られているRASシグナル伝達系の機能的標的遺伝子としてRECKを発見し、この遺伝子がECMリモデリングの主要な推進役であるマトリックス・メタロプロテアーゼ(MMP)の膜結合型制御因子をコードすることを見出した。RECKは、マウス胚において神経前駆細胞と考えられているradial gliaに高く発現されており、RECK欠損マウスではnestin陽性細胞の著しい減少やneural tubeの形成異常が見られることから、中枢神経系の発達にとって重要な役割を演ずると考えられる。本研究課題では、RECK欠損マウスに見られる中枢神経系の異常とそのメカニズムの解明を通して、神経回路構築におけるECMおよびECMリモデリングの役割に洞察を加えたい。

図の説明:マウス10日胚におけるRECKタンパク質の発現。腹部水平断した胚をwhole-mount immunostainingしたもの。RECKの発現は、間葉系組織で広く見られるが、神経管(N)および大動脈(A)の周囲では特に高い。RECK欠損マウスは、これらの組織の破綻を伴って胎生10.5日前後に死亡する。

(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性)

実験技術:

1)              time-lapse顕微鏡による付着細胞の化学走性解析

2)              線維芽細胞におけるcDNA発現クローニング

3)              レトロウイルス、アデノウイルスなどを用いた遺伝子導入・発現実験

4)              遺伝子トラップ・スクリーニング

リソース:

1)              様々ながん由来の細胞株

2)              筋肉、神経、軟骨などへの分化誘導が可能な培養細胞株