(所属領域)  分子脳科学

(氏名)   山森哲雄             

(所属・職名)            

       基礎生物学研究所・ 教授   

(電話)0564-55-7615

FAX0564-55-7615

(E-mail) yamamori@nibb.ac.jp

URL  http://www.nibb.ac.jp/%7Edivspe1/                  

(メッセージ)

私達の研究室で行っているのは、主に次の2つの研究です。

1つは、霊長類大脳皮質領野特異的に発現する遺伝子の解析です。

 大脳皮質の高次脳機能の遂行の上で、領野と呼ばれる基本的な機能単位が重要であると考えられています。この大脳皮質領野の形成に関して、どの程度遺伝的に決定され、どの程度感覚入力によって決定されるのか従来から論争がありましたが、最近のげっ歯類を用いた発生遺伝子工学的な研究から、大脳皮質の大まかな領域化は、シグナル分子、転写因子、Eph/Ephrin遺伝子群の一連のカスケードによって決定されることが明らかになりました。しかし、霊長類の大脳皮質は、より発達した視覚野と連合野からなり、これらの大脳皮質領野決定機構については、依然未解決です。私達は、霊長類の大脳皮質領野特異的に発現する遺伝子を解析することにより、大脳皮質領野の機能形成の機構を明らかにしたいと考え、研究を行っています。これまでの研究で、先ず、Differential Display法により、視覚野 (occ1)、連合野(Rbp)、運動野(gdf7)に特異的に発現する遺伝子を同定し、その発現様式を解析し、これらの遺伝子の生後発達依存性、活動依存性(occ1)、霊長類特異性を報告してきました。更に、こうしたタイプの遺伝子が霊長類大脳皮質全体でどの程度存在するのかを明らかにする目的で、RLCS (Restriction Landmark cDNA scanning) 法により網羅的に解析し、全遺伝子中、霊長類の連合野や視覚野に特異的に発現する極く少数の遺伝子が存在することを見出しています。これらの発現パターンは、視覚野特異的か連合野特異的ですので、霊長類の視覚野や連合野の形成や機能発現に共通の機構があることが示唆されます。本領域に於ける研究では、今後、こうした遺伝子の発現様式と機能を解析する予定です。

2つ目は、行動学習下での遺伝子発現とその機能的意義の解明です。

 遺伝子発現を指標として、従来の生理学的手法や解剖学的手法では解析の難しかった行動学習下での広範な脳領域の活動変化を細胞レベルまで解析し、次に、こうして同定された脳部位の行動学習における機能的意義を明らかにしたいと考えています。用いている行動系は、櫻井京大教授と共同開発した改良型視聴覚弁別学習系と当研究室で木津川助手等が開発した回転ホイール走行システムです。

 本領域の活動を通じて、皆さんとの共同研究が広がることを期待します。宜しくお願いします。

(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性)

In situ hybridaization (rodents, primates)

げっ歯類の行動解析システム