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(所属領域) 第四領域・計画班員 |
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(氏名) 森 郁恵 |
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(所属・職名) 名古屋大学・大学院理学研究科 生命理学専攻・教授 |
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(電話)052-789-4560 |
(FAX)052-789-4558 |
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(E-mail)m46920a@nucc.cc.nagoya-u. ac.jp |
(URL)http://bunshi3.bio.nagoya-u.ac.jp/bunshi0/index.html |
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(メッセージ) 動物行動に興味を持ったのは高校生の頃でした。社会性行動がどう進化したのかを理解するには、どういう学問に身を投じたら良いのかと考え、理学部生物学科に入学しました。ローレンツ、ティンバーゲン、フォンフリッシュの翻訳本をむさぼり読み、ソフトボールに明け暮れる真面目な学生時代を送り、卒業研究ではショウジョウバエを使った実験集団遺伝学や理論生物学を体験しました。線虫C. elegansと、運命的な出会いをしたのは、アメリカのワシントン大学生物医学系大学院博士過程に入学して数ヶ月経った頃です。モデル動物としての潜在的なパワーに圧倒されたことをよく記憶しています。大学院では、とにかくC. elegansを「徹底的に修める」ことができれば、学位論文のテーマはなんでも良いと思っていました。学位取得後、九州大学理学部生物学科の分子遺伝学講座の助手に採用されて、幸いにも、C. elegansの行動を「分子の言葉で語る」研究に従事することになりました。高校時代からの漠然とした夢が現実になった瞬間でした。現在、神経回路上で、どんな遺伝子がどう働くことによって行動が決まるのかという観点から、温度走性という行動を指標として、学習や記憶、行動の可塑性の研究を、分子、細胞、神経回路、そして個体レベルで多面的に行なっています。つい最近まで、国際的にみてもハードルが高かったカルシウムを指標とした神経細胞の活動の可視化が、当研究室では、現在日常的に行なえる実験手法となったことは、非常に大きな進展だと思っています。今後は、遺伝子機能の解析を基礎として、生理学的な側面からの研究の強化と、理論生物学的なアプローチによって、神経回路の動態を理解したいと思っています。目的に到達するまでの道は険しくとも、到達点は、そんなに遠くないと期待しています。そして「魂を絞り出すように論文を書き、深淵で美しい研究をおこなう科学者」になるのが目標です。 参考文献:(1)Mori, I. and Y. Ohshima.
1995. Neural regulation of thermotaxis in Caenorhabditis elegans. Nature
376:
344-348 (2)Mori,
I. 1999. Genetics of chemotaxis and thermotaxis in the nematode Caenorhabditis elegans. Ann. Rev. Genet.
33,
399-422, (3)Kuhara, A., Inada, H., Katsura, I. and Mori, I. 2002.
Negative regulation and gain control of sensory neurons by the C. elegans calcineurin TAX-6. Neuron
33, 751-763, (4) Kimura, K.D., Miyawaki,A., Matsumoto, K. and Mori, I.
2004. The C. elegans Thermosensory Neuron AFD Responds to Warming. Curr.Biol.
14: 1291-1295. |
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(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性) 線虫C.
elegansのあらゆる行動解析:温度走性、化学走性、嗅覚順応、いろいろなパラダイムによる連合学習テスト、レーザー照射による特定のニューロン殺傷実験、cameleonを用いた特定の感覚ニューロンや介在ニューロンにおける刺激依存的カルシウム濃度変化のイメージング、特定のニューロンにおけるシナプスの可視化、薬剤による行動可塑性解析実験、 遺伝子ノックアウト系統ライブラリー、ニューロン得意的発現プロモーター多数保有 実験技術の一部はホームページで公開しています。その他のリソースも基本的には公開可能です。 |