発生中の視覚神経系。光受容細胞(左、グレイ)はラミナ(三日月型、緑)へ軸索を投射する。

(所属領域) 第四領域・公募班員          

(氏名)  多羽田 哲也             

(所属・職名)  東京大学          

   分子細胞生物学研究所・教授   

(電話)03-5841-7886

FAX03-5841-8479

(E-mail) 

ttabata@iam.u-tokyo.ac.jp

URL

http://www.iam.u-tokyo.ac.jp/fly/

htmls/index.htm

(メッセージ)

神経系の班に参加させていただくのはこれが初めてです。この15年間ショウジョウバエの発生生物学の分野でヘッジホッグやDppBMP)などのシグナル分子によるパターン形成メカニズムを調べておりましたが、ここしばらくは視覚系の神経発生に主眼を移しています。

 ショウジョウバエの複眼は750の個眼からなり、個眼の光受容細胞は長い軸索を直接、脳のラミナ神経節に投射します。その投射パターンとそれに依存したラミナの形成はretinotopy等回路形成の良いモデルとなると考えており、ヘッジホッグ、DppWntNotchSTATといった旧知のシグナル分子が視覚系において新たな局面で機能している様を調べております。現在、視覚系と並んで、記憶中枢の回路形成の解析にも着手しており、さらに、記憶、特に長期記憶の形成を担う分子メカニズムをテーマに加えるべく準備を進めているところです。これらの研究から得られた知見を脊椎動物の理解にも繋げたいと考えております。いろいろ御教示いただければ幸いです。

 

 パターン形成一般に関しましては以下のような仕事をしておりました。

Tabata, T. and Takei, Y.  Morphpgens, their identification and regulation.  Development, 131 (4), 703-712, 2004.

Takei, Y., Ozawa, Y., Sato, M., Watanabe, A. and Tabata, T.  Three Drosophila EXT genes shape morphogen gradients through synthesis of Heparan Sulfate Proteoglycans.  Development, 131 (1), 73-82, 2004.

Tabata, T. Genetics of morphogen gradients. Nature Reviews Genetics, 2, 620-630, 2001

Tanimoto, H., Itoh, S., ten Dijke, P., and Tabata, T. Hedgehog creates a gradient of Dpp activity in Drosophila wing imaginal discs. Mol. Cell, 5, 59-71, 2000.

Minami, M., Kinoshita, N., Kamoshida, Y., Tanimoto, H., Tabata, T. brinker is a target of Dpp in Drosophila that negatively regulates Dpp-dependent genes. Nature, 398, 242-246, 1999.

Tsuneizumi, K., Nakayama, T., Kamoshida, Y., Kornberg, T.B., Christian, J. L., and Tabata, T. Daughters against dpp  modulates dpp organizing activity in Drosophila wing development. Nature, 389, 627-631, 1997.

(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性)

専らショウジョウバエを用いているために、汎用性のある技術はありませんが、MARCMなど、特定の体細胞クローンにのみ変異を導入し、その表現型を解析する手法を多用しております。