(所属領域)  第四領域・公募班員

(氏名)    佐甲靖志

(所属・職名) 大阪大学大学院生命機能研究科

       ナノ生体科学講座・助教授    

(電話)06-6879-4426

FAX06-6879-4427

(E-mail)

sako@phys1.med.osaka-u.ac.jp

URL                    

http://www.phys1.med.osaka-u.ac.jp

(メッセージ)

 細胞内の様々な情報処理に関わる分子が次々に同定され、活性化あるいは不活性化といった分子間の相互作用が明らかになってきています。しかし、ネットワークの各部分がどのような機能(たとえば増幅反応であるとか、適応反応であるとか。)を持っているか、それらがどのように統合されてネットワークの反応ダイナミクス(時間、空間的な反応のパターン)が決定されているか、入力に応じて反応ダイナミクスが変化する仕組みは何か、といった疑問に答えるには、ネットワークの要素と構造の情報に加えて、素過程と全体的応答のダイナミクスを共に定量的に計測し、モデル化することが必要であろうと思います。

 私たちは、細胞内1分子蛍光可視化法を開発して、情報処理反応のダイナミクス・キネティクスを計測しています1。本研究領域では、神経伸長のモデルであるPC12細胞の分化過程において、NGF-Ras-MAPKシステムの情報処理分子反応と細胞動態の関係を明らかにすることを目標としています。ニワトリDRGでは、成長円錐あたり40分子のNGFが結合すれば、成長円錐の変形と伸長が起こります2。これは、神経伸長反応が、大きな反応分子数のゆらぎが存在する条件でも的確に応答し得ることを示唆しています。1分子計測は、反応の定量にすぐれ、反応パラメータの分布やゆらぎの情報を得ることができる計測法ですから、これを利用して神経細胞の情報処理の仕組みを見ていきたいと思います。

 

1) Sako, Y. and Yanagida, T. (2003) Nature Rev. Mol. Cell Biol. 4, SS1-5.

2) Tani, T. et al. (2005) J. Neurosci. 25, 2181-2191.

(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性)

 光学顕微鏡を用いた細胞の可視化・操作の技術、特に細胞内の蛍光1分子計測や光ピンセットによる分子操作に関しては、かなりの経験を持っています。もちろん、精製した蛋白質やDNA分子の機能や構造を1分子計測することもできます。興味があればいつでも実験に来てください。マンパワーはありませんが、マシンタイムはいつでも空いています。(1分子計測は計測よりもデータ処理に遙かに多くの時間がかかりますので。)