(所属領域)  第4領域・公募班員

(氏名)      中島 欽一

(所属・職名)奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科

       分子神経分化制御学講座・教授

(電話)0743-72-5471

FAX0743-72-5479

(E-mail)

kin@bs.naist.jp

URL

http://bsw3.naist.jp/nakashima/index.html

(メッセージ)

 私の研究室では神経幹細胞の分化制御機構を研究しています。私がポスドクをしていた研究室が免疫学を扱っていたこともあり、「サイトカインシグナルによる神経幹細胞の分化制御機構の解明」を足掛りとしてこの分野の研究を始めました。当時サイトカインが神経系でも重要な役割を果たすことが明らかになってきてはいたものの、その分子基盤を解明したような研究は少なく、少しは知識のあったサイトカインシグナルの研究と結びつければ、何かもう少しはっきりしたことが言えるのではないかと考えたからです。その後しばらくサイトカインシグナルのみの観点から研究を続けましたが、それだけではどうしても説明のできない現象にいくつか出会いました。例えば胎生中期の神経上皮細胞を、胎生後期の神経上皮細胞に対してはアストロサイト分化を誘導できるサイトカインで刺激してもアストロサイト分化を誘導できないこと等です。そんな時にふと思い出したのが、大学院時代に出入りしていた研究室の方が扱っておられた「エピジェネティクスに関する研究」でした。エピジェネティックな違いを細胞内在性プログラムの違いとして捉えると、異なる細胞群が同じサイトカインシグナルを受け取った場合に、異なる反応を示すことを説明することが可能になります。そこで現在ではサイトカインなどの「細胞外来性シグナル」とエピジェネティックなゲノム修飾などの「細胞内在性プログラム」とのクロストークを視野に入れて、研究を展開しています。今までの経験から、周りの人や環境が私に重要な影響を与えてくれるものと認識しておりますので、今回の「統合脳」班員の方々からも様々な刺激がいただけるものと期待しております。

1.  Nakashima, K., et al. (1999) Synergistic signaling in fetal brain by STAT3-Smad1 complex bridged by p300. Science 284, 479-482.

2.  Takizawa, T., et al. (2001) DNA Methylation Is a Critical Cell-Intrinsic Determinant of Astrocyte Differentiation in the Fetal Brain. Dev. Cell 1, 749-758.

3.  Shimozaki, K., et al. (2005) Stage-and site-specific DNA demethylation during neural cell development from embryonic stem cells.  J. Neurochem. 93, 432-439.

(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性)

 

マウス未分化神経上皮細胞初代培養。

マウスES細胞からの神経系細胞分化誘導系。

 

以上について、受け入れ及び指導可能。