(所属領域)  第四領域・公募班員

(氏名)    福永 浩司

(所属・職名)東北大学大学院・薬学研究科・薬理学分野

      教授

(電話)022-795-6836

FAX022-795-6835

(E-mail)

fukunaga@mail.pharm.tohoku.ac.jp

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(メッセージ)

研究の始まりは CaM キナーゼ II (CaMKII) のラット脳からの精製でした。新規のキナーゼであったことから論文投稿で苦労したことを思い出します。現在はゲノムからの分子探索の時代であり、蛋白質を精製するという面白さは理解されないかもしれません。1992 年に利根川博士が CaMKIIKO マウスで学習障害が起こることを報告され、記憶分子として注目されてきました。4 つのアイソフォームは異なる脳内分布と細胞内局在を示すことから異なる機能に関与すると考えられますが、a 以外の bgd の機能は不明です。研究室では精神疾患や認知機能障害を示すモデルマウスや遺伝子改変マウスを用いて電気生理学的解析と生化学的解析を行っており、 CaMKII がシナプス可塑性におけるシナプス伝達と形態変化の両方に関与することが解ってきました。最近、ドパミン受容体の細胞発現系を用いて CaMKII、カルシニューリンを介するシグナル伝達について明らかにしました。現在、ヒトの精神疾患に近い発現型を有するマウスを用いて、CaMKIIおよびカルシニューリンとの精神疾患、学習障害との関連性を追究しています。電気生理、形態、神経化学的分析で得られる情報を関連づけることで、精神機能を分子レベルで理解できればと考えています。さらに、統合脳では様々の精神疾患モデルマウスを解析している研究者と協力して精神疾患の病態解明につなげたいと思います。

P. Jourdain, K. Fukunaga and D. Muller: CaMKII contributes to activity-dependent filopodia growth and spine formation J. Neurosci. 23, 10645-10649 (2003)

Y. Takeuchi and K.Fukunaga: Different effects of five dopamine receptor subtypes on NF-kB activity in NG108-15 cells and mouse brain. J. Neurochem. 88, 41-50 (2004)

Y. Takeuchi and K. Fukunaga: Dopamine D2 receptor activates extracellular signal-regulated kinase through the specific region in the third cytoplasmic loop. J. Neurochem. 89: 1498-1507 (2004)

Y. Takeuchi and K. Fukunaga: Different activation of NF-kB by stimulation of dopamine D2L and D2S receptors through calcineurin activation. J. Neurochem. 90, 155-163 (2004)

(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性)

1. 活性型 CaMKII, CaMKIV を認識する抗体を用いた細胞、組織レベルでの活性測定法。

2. CaMKICaMKIICaMKIV、カルシニューリンの細胞抽出液を用いた活性測定法。

3. 海馬、大脳皮質切片および培養神経細胞を用いた細胞外、細胞内記録による電気生理実験

4. 海馬切片培養を用いた遺伝子導入と電気生理実験

5. マウス、ラット、砂ネズミを用いた脳虚血、神経変性モデルの作製と神経化学的解析

6. 遺伝子改変マウスを用いたリン酸化蛋白質の網羅的解析