(所属領域) 統合脳4・公募班員

(氏名) 木村英雄

(所属・職名) 国立精神・神経センター 神経研究所 

遺伝子工学研究部 部長

(電話)042-346-1725

FAX042-346-1755

(E-mail) kimura@ncnp.go.jp

URL                    

(メッセージ)

20年程前、防衛医大薬理学講座においては小脳のスライスを使って、プルキンニェ細胞樹氷突起からの細胞内記録を可能にして、星状細胞や途上繊維の神経伝達物質について研究を行っていました。その後、癌研の生化学部に3年程御厄介になり、チトクロームP450遺伝子の解析を行いながら、遺伝子工学的手法を学びました。88年からアメリカのソーク研究所で、神経保護因子などの研究に携り、アルツハイマー病にかかわる因子の研究も行いながら、94から生理機能分子としての硫化水素について研究を始めました。硫化水素は他の硫黄を含む化合物と同じように、タンパクに結合した形で存在します。硫化水素は海馬長期増強(LTP)の誘導促進をしますし、アストロサイトにカルシウムウェーブを誘導します。また、グルタミン酸による酸化ストレスから神経細胞を保護する作用もあることがわかってきました。平滑筋弛緩因子としての研究や、最近のScienceへの報告によると、硫化水素が生体の代謝を抑制して、冬眠状態にすること、そして、可逆的に回復し、後遺症を残さないことがわかってきており、麻酔薬としての可能性も考えられています。In vitroで硫化水素を生産する酵素は知られていますが、in vivoでどのように生産され、どのような刺激によって放出されるかといった問題を解決していきたいと思っています。

1. Abe K. and Kimura H. he possible role of hydrogen sulfide as an endogenous neuromodulator. J. Neurosci 16, 1066-1071, 1996.

2. Hosoki R., Matsuki N. and Kimura H. The possible role of hydrogen sulfide as an dngogenous smooth muscle relaxant in synergy with nitroc oxide. Biochem. Biophys. Res. Commun. 237, 527-531, 1997.

3. Nagai Y., Tsugane M., Oka J-I. And Kimura H. Hydrogen sulfide induces calcium waves in astrocytes. FASEB J. 18,  557-559, 2004.

4. Kimura Y. and Kimura H. Hydrogen sulfide protects neurons from oxidative stress. FASEB J. 18, 1165-1167, 2004.

5. Kimura H. Hydrogen sulfide as a biological mediator. Antioxidants & Redox Signaling 7, 778-780,  2005.

(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性)

培養神経及びグリア細胞、脳スライスからのカルシウムイメージング。

アフリカツメガエル卵母細胞発現系。

硫化水素測定法。