(所属領域) 病態脳

(氏名) 水野 美邦

(所属・職名) 順天堂大学

脳神経内科・教授

(電話)03-3813-3111, ext. 3321

FAX 03-5800-0547

y_mizuno@med.juntendo.ac.jp

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(メッセージ)

 私達の研究室では,パーキンソン病の原因・発症機序・治療を研究しています.原因に関する研究の柱の1つは,家族性パーキンソン病に関する研究です.これは単一遺伝子異常の異常で発症するので,分子レベルで黒質変性の機序を解明できる可能性があります.我々のグループは,劣性遺伝のパーキンソン病の1つAR-JP(PARK2)の原因遺伝子パーキンの単離を1998年に,その蛋白の機能がユビキチンレイガーゼの一種であることを2000年に明らかにしました.最初はパーキンの基質の蓄積が黒質変性の原因と単純に考えたのですが,免疫組織でパーキン候補基質の蓄積が証明できず,パーキン異常による黒質変性の機序の研究には別の方法が必要になっています.Alpha-synuclein,パーキン遺伝子異常についで,UCH-L1, DJ-1, PINK1, LRRK2が家族性パーキンソン病の原因遺伝子として発見され,我々も世界各国からいただいているサンプルを分析して,PINK1, LRRK2遺伝子異常の家系をみつけました.Alpha-synucleinの異常は極めて稀とされていましたが,最近そのduplicationによる優性遺伝の日本人家系をみつけました.本邦における最初のalpha-synuclein遺伝子異常と思います.Alpha-synuclein遺伝子異常は,孤発型パーキンソン病の発症機序研究に有力な情報を与えてくれると思います.

 現在のパーキンソン病の治療は,いずれも対症療法です.将来的には遺伝子治療や細胞治療もその安全性と有効性が証明されれば新たな治療手段になる可能性があります.我々のグループでは,遺伝子治療の基礎的研究もしています.AAV vectorによりalpha-synuclein遺伝子を局所的に黒質に高発現させてパーキンソン病モデルを作成することに成功しました.更にパーキン蛋白を同時に高発現させると黒質神経細胞の変性が抑制されることも観察しました.まだラットの段階ですが,今サルを用いた研究を進めています.

(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性)

パーキンソン病原因遺伝子シークエンス,PCR, Real Time PCR, AAV vectorを使用した遺伝子導入,各種細胞培養,免疫沈降,Western blotting, 共焦点レーザー顕微鏡,免疫組織化学

いずれも公開可能