(所属領域) 統合脳領域(5)「病態脳」・公募班員

(氏名)  秦野 伸二(はだの しんじ

(所属・職名)   東海大学医学部基礎医学系

        分子生命科学・助教授

(電話)0463-91-5095

FAX)0463-91-4993

(E-mail)

shinji@is.icc.u-tokai.ac.jp

URL)

(メッセージ)

私は、大学院博士課程在学時より一貫して、神経変性・神経細胞死に関連した遺伝子のクローニングおよびその分子機能の解明に関する研究を行ってきました。現在は、特に2001年に同定することに成功した家族性筋萎縮性側索硬化症2型(ALS2)の原因遺伝子ならびにその遺伝子産物(ALS2タンパク質/alsin)に関する研究を行っています。具体的には、ALS2タンパク質の生化学的特性の解析、および細胞・個体におけるALS2タンパク質の分子機能解析を行っています。これまでの我々の研究により、ALS2タンパク質は低分子量Gタンパク質Rab5に特異的なグアニンヌクレオチド交換活性を有すること、神経細胞を含めた培養細胞系においてはRab5の活性化を介しての初期エンドゾーム融合の調節を担い、細胞内エンドゾーム動態および物質移送に重要な役割を果たしていることが明らかとなりました。本特定領域研究では、「統合脳」の様々な神経科学のエキスパートとの共同研究ならびにディスカッションを通して、これまでの研究をさらに発展させ、最終的には様々な運動ニューロン疾患の発症メカニズムを解明することを目指したいと思います。そして、医師でない私としては、基礎医学研究と臨床研究の橋渡し的役割を担いつつ、発症メカニズムを基盤にした疾患治療法確立に向けて、実験科学的側面から少しでも支援できれば、と考えています。最近の本研究に関連した論文を下記に記載します。興味がお有りの方は、是非ご連絡ください。

1) Hadano, S. et al. A gene encoding a putative GTPase regulator is mutated in familial amyotrophic lateral sclerosis 2. Nat. Genet. 29, 166-173 (2001).

2) Otomo, A. et al. ALS2, a novel guanine nucleotide exchange factor for the small GTPase Rab5, is implicated in endosomal dynamics. Hum. Mol. Genet. 12, 1671-1687 (2003).

3) Kunita, R. et al. Homo-oligomerization of ALS2 through its unique carboxy-terminal region is essential for the ALS2-associated Rab5 guanine nucleotide exchange activity and its regulatory function on endosome trafficking. J. Biol. Chem. 279, 38626-38635 (2004).

4) Hadano, S. et al. ALS2CL, the novel protein highly homologous to the carboxy-terminal half of ALS2, binds to Rab5 and modulates endosome dynamics. FEBS Lett. 575, 64-70 (2004).

(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性)

・ポジショナルクローニングによる疾患原因遺伝子同定、ゲノム解析

・一般的な分子生物学・生化学的手法:クローニング、タンパク質発現・精製等、

・精製タンパク質を用いた酵素活性測定:特に低分子量Gタンパク質の活性化、

・細胞生物学的解析:各種培養細胞、神経初代培養細胞への遺伝子導入、および蛍光免疫染色による発現タンパク質の動態解析、エンドサイトーシス・膜小胞動態解析、細胞骨格染色等、