(所属領域)   第五領域・公募班員

(氏名)     水島 昇 

(所属・職名) 東京都臨床医学総合研究所

      タンパク質代謝プロジェクト

      プロジェクトリーダー 

(電話)03-4463-7590

FAX03-3823-2182

(E-mail)

nmizu@rinshoken.or.jp

URL

http://www.rinshoken.or.jp/BM/

(メッセージ)

 現在、神経変性疾患における細胞内凝集体・封入体形成と、細胞内タンパク質分解系との関連が強く示唆されています。これまではユビキチン・プロテアソーム系を対象とした研究が主体でしたが、細胞内のもうひとつの大規模分解系、すなわちオートファジー系の関与も最近指摘されつつあります。オートファジーとは細胞質成分の一部を非特異的にリソソームで分解するシステムです。

 私たちはこれまでに細胞・個体レベルでのオートファジーのモニター系の構築や、オートファジー不能マウスの作製・解析を行ってきました。その結果、栄養飢餓時や出生直後に「激しく誘導されるオートファジー」によるアミノ酸産生が確かに生体内での栄養制御に重要であることを示しました。しかし一方で、「低いレベルの恒常的オートファジー」にも十分な細胞内浄化作用があり、それは細胞分裂によって老廃物等を希釈し得ない神経細胞では特に重要であることを示すデータを得ています。そこで栄養学的観点とは別に、細胞内浄化機構としてのオートファジーの意義を神経細胞・組織等で解析し、細胞内変性タンパク質の蓄積・凝集における役割などについてみなさまと議論させていただけたらと思います。

1.           Kuma, A., Hatano, M., Matsui, M., Yamamoto, A., Nakaya, H., Yoshimori, T., Ohsumi, Y., Tokuhisa, T., Mizushima, N.  The role of autophagy during the early neonatal starvation period. Nature. 432, 1032-1036 (2004).

2.           Mizushima, N., Yamamoto, A., Matsui, M., Yoshimori, T. and Ohsumi, Y. In vivo analysis of autophagy in response to nutrient starvation using transgenic mice expressing a fluorescent autophagosome marker. Mol. Biol. Cell 15, 1101-1111 (2004).

3.           Mizushima, N., Yamamoto, A., Hatano, M., Kobayashi, Y., Kabeya, Y., Suzuki, K., Tokuhisa, T., Ohsumi, Y. and Yoshimori, T. Dissection of Autophagosome Formation using Apg5-Deficient Mouse Embryonic Stem Cells J. Cell Biol. 152, 657-667. (2001)

(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性)

オートファジーの細胞および個体内でのモニター方法

Autophagy indicator mice (GFP-LC3マウス)

(理研バイオリソースセンター http://www2.brc.riken.jp/lab/animal/detail.cgi?reg_no=00806