(所属領域)   領域(病態脳)計画公募班員

(氏名)    伊佐 正等 誠司

(所属・職名) 自然科学研究機構・生理学研究所

       認知行動発達機構分子神経生理研究研究部門・教授

(電話)0564-559-77615246

FAX0564-55-759-5247766

(E-mail)

 tisashitoshi@nips.ac.jp

URL

http://www.nips.ac.jp/ninfohbfp/

(メッセージ)

 

 医学部を卒業して5年間ほど神経内科の臨床トレーニングを受けました。そ後大学院に進んで研究の手ほどきを受け、糖鎖関連の研究(糖転移酵素遺伝子のクローニングなど)行ないました。現在興味をもっている神経幹細胞の研究を始めたのは、1999年にトロント大学に留学してからですが、この間の(神経)幹細胞研究や再生医学研究の勢いや熱気には目を見張るばかりです。留学中は主に神経幹細胞の発生や胎生期における未分化性維持機構に注目して研究を進めましたが、帰国後はそれらに加えて成体脳で神経幹細胞の維持のメカニズムや、脳の高次機能対する神経幹細胞/神経新生の役割なども研究していきたいと思います。これまでの経験を生かして、精神神経疾患の脳での神経幹細胞の動態や、障害を受けた脳の修復を目指した内在性神経幹細胞の活性化にも研究テーマを拡げていきたいと考えています。学生時代に出入りしていた研究室でやっていたことの先をもう少し知りたくなり、そのまま基礎研究の大学院に入学して20年が経過しました。遠大な目標があって脳研究を始めたわけではなく、その都度面白いと思うことを色々やってきたのですが、不思議なことに色々やってきた挙句、最近は20歳台後半の頃に「こういう研究ができたらよいな」と思っていたことに舞い戻って来たような感じです。勿論その頃イメージしていたことと比べると、方法論やアプローチの仕方はだいぶ違っていますが・・・

今は手指の器用な運動や眼球のサッケード運動を制御する神経回路についてその構造と機能を健常動物で解析するとともに損傷後の機能代償機構を調べることが主な研究のテーマです。方法はin vitroのスライス標本におけるパッチクランプ法を用いた実験から麻酔動物での電気生理、また覚醒マウスのサッケード運動から覚醒サルの行動実験と電気生理実験、さらにはサルを用いたPETによる脳機能イメージングなどを組み合わせています。また共同研究では機能代償過程での遺伝子発現なども調べています。

 「統合脳」で様々な分野の先生方のお話を聞き、新しいテクニックを知ることができると楽しみにしておりますし、は色々な研究者と出会いさらに共同研究に発展させられれば望外の喜びです。よろしくお願い致します。

の輪が広がることを期待しています。

以下、ご参考までに最近の論文から・・・・

(1) Isa T (2002) Intrinsic processing in the mammalian superior colliculus. Current Opinion in Neurobiology, 12:668-677.

(2) Sasaki S, Isa T, Pettersson L-G, Alstermark B, Naito K, Yoshimura K, Seki K, Ohki Y (2004) Dexterous finger movements in primate without monosynaptic corticomotoneuronal excitation. Journal of Neurophysiology, 92:3142-3147.

(3) Sakatani T, Isa T (2004) PC-based high-speed video-oculography for measuring rapid eye movements in mice. Neuroscience Research, 49:123-131.

(4) Watanabe M, Kobayashi Y, Inoue Y, Isa T (2005) Effects of local nicotinic activation of the superior colliculus on saccades in monkeys. Journal of Neurophysiology, 93: 519-534.

(研究室で有する実験技術・リソースとその公開の可能性)

慢性・覚醒サルでの眼球運動系の実験・神経活動記録、

 

大脳皮質運動野の微小電流刺激法・薬物局所注入、神経幹細胞の培養(Neurosphere assay

ES細胞を用いた神経細胞誘導

麻酔下マウスでの脊髄上行・下行路の神経伝導計測レトロウィルスなどを用いた遺伝子導入

麻酔動物での電気生理実験、スライスパッチクランプ法、細胞内染色法、

マウスの眼球運動の高速度計測胎仔脳に対する薬剤投与(マイクロインジェクション)や遺伝子導入(エレクトロポレーション)、成体脳に対する薬剤投与(オスモティックポンプ

(マウスの眼球運動系については担当者が1年間の留学で不在になりますが、他の技術について習得したい方を受け入れることは可能です。