領域3 脳の神経回路の機能解明「神経回路機能」
領域代表者:狩野方伸
所属機関:大阪大学大学院医学系研究科
(研究項目)
A01: 神経回路の形成 A02: 神経回路の機能的成熟 A03: 神経回路の特異的機能発現
- 脳の最大の特徴は、構成要素である神経細胞がシナプスを介して連絡することによって神経回路を形成し、さらに神経回路が集積してシステムとして機能する脳が構成されることである。構成要素を対象とした分子細胞レベルの研究に立脚して神経回路の機能を解明することは、脳機能の理解の進展に欠かせない。
- 「神経回路」は、個体発生の過程でハードウエアとしてのアウトラインが「形成」され、生後の成長・発達にともない、動物の経験や環境に依存して「機能的に成熟」し、動物が成体となるまでに、それぞれの脳の領域において「特異的な機能発現」をする。これらに対応する3つの研究項目を設定し、生理学をはじめとする様々な研究手法を結集して、神経回路の機能解明を目指す。
(推進研究)
A01: 神経細胞が分化してから神経回路としての概略の配線が完了するまでの研究。神経細胞の移動やその結果おこる層形成と神経核形成、軸索の成長と標的の認識、シナプス形成とその安定化など。 A02: 経験依存的なシナプスの強化・除去と機能的神経回路発達、シナプス伝達とその修飾、神経可塑性などのメカニズムの研究。 A03: 感覚、認知・判断、運動という脳機能を分担する要素としての神経回路の働きにおける分子・細胞レベルでの研究。
「計画研究」では重点的に研究を推進し、一人または少数の研究者による単年度あたりの応募額 200〜400万円程度の萌芽的研究と、 500〜800万円程度の独創的研究を公募する。萌芽的研究が20件程度、独創的研究が10件程度の予定。研究期間はいずれも1年。本領域は6年間の研究期間が計画されており、次年度以降も公募を予定している。